「こうなったらいつもので勝負だ!」

俺は食堂のカウンターを指差した。その直線上に固まっていた生徒がざっと道を開ける。

「はっ、受けて立つぜバカイト!返り討ちにしてやる!!」

ギャモンもいつものごとく挑発に乗って我先にとカウンターまで2人して走った。互いに牽制するようにどつき合うのも忘れない。

「今日もやるのかい、恒例の早食い対決」

俺たちの言い合いを見ていたのか食堂のおっちゃんがカウンター越しにそう言ってきた。
短い距離だったはずだが身体をぶつけながら走ってたせいで俺もギャモンも息切れ気味だ。

「「当たり前だ!!」」

すると、被った。なんとか息を整えてなんとか叫んだら、見事に被った。ギャモンと。同時になんとも言えぬ表情で互いを見る。

「「なんだよ……」」

そう言ってまたはっとなる。被った。まただ。何でだ。

「「なんで被るんだよ!」」

ギャモンがしまった、というような顔をする。たぶん俺もそんな顔をしているに違いない。
思ったことをそのまま口にした瞬間またモロ被りしてしまいそうで俺も奴も微妙な顔で睨み合っていた。そんな時。

「今日も仲良いねぇ」

ぼそりと食堂のおっちゃんが呟いた一言に俺は思わずむきになって叫んだ。

「「仲良くねぇ!つーか今日もってなんだ、今日もって!!」」

あ。
ゆっくり首を回せば、やっぱりギャモンも俺を見ていた。ここまで被るか、普通。
仲良くない、と否定したはずだがむしろそれが仇となったようで俺もギャモンも何も言えずに肩を縮こまらせることしか出来なかった。

「……仲良いねぇ」

呆れたようなおっちゃんのその言葉に、今度こそ俺たちは恥ずかしさで俯いてしまった。






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