意外にも僕らの顔の距離が近くて思わず僕はギャモンくんに唇を寄せた。何をされるか分かっていなかったんだろう、すんなりと唇は触れ合い柔らかく重なった。
あれ、と僕は内心不思議に思った。予想していた抵抗がないのだ。
まるで固まってしまったかのように動かない彼に気をよくして僕は少々乱暴に口内へ割り入った。
その時、ギャモンくんの肩が大袈裟に跳ねた。それに僕が驚いていると次の瞬間に僕の身体は見事に吹っ飛んでいた。

「いったぁ!!」

壁に背中がクリーンヒットし悶絶しているとギャモンくんは僕を指差して、そしてわなわなと震え赤くなり口を開いた。

「せ、せせせ先輩の……ば、へ、へんた…!!」

どうやら相当パニックのようだ。まともに喋れないだなんて。

「ふ、ファースト……キスだったのに……!!」

え。僕は目を見開いた。
ギャモンくんは僕に爆弾を残したまま走って部屋を出ていってしまった。
ファーストキス。
ファーストキス。
ファーストキス。
そうか、ギャモンくんは高校一年だ、キスをしたことがないというのも少し意外ではあるがまあ不思議ではない。
でもさ、あんな顔真っ赤にして言うかい、普通。どんだけ初なのさ。
僕はしばらくしてからため息をついた。
彼はいつも僕の想像をいい意味で飛び越えていく。
触れ合った唇の感触はいつまでも消えずにいた。





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