「これが終わったら何か食べに行こうか」

僕がそう誘うとギャモンくんははっと表情を変え嬉しそうに時計を見やった。

「マジすか!長時間さんざこき使われて腹減ってたんだよなぁ」

「え、僕そんなに人使い荒かった?」

「自分じゃ気付いてないんすよ」

ギャモンくんは急に元気を取り戻して出来上がった書類を揃えて脇へ押しやった。そしてまだ作成途中の方を引っ張り出してくる。

「そうと決まったら早く終わらせねぇとな!」

「ギャモンくん何食べたい?」

どこの店に入ろうかと考えて僕はギャモンくんに聞いた。

「えーっと、カツ丼とピザとカレーと」

「……じゃあファミレスにしよっか……」

よく夕食前にそんなに食べれるな、と感心しながらなんだか学校帰りにファミレスデートというのはどうなんだろうと思いつつも彼の好みに合わせることにする。

「あ、先輩」

「ん、どうしたんだい」

仕事もそろそろ終わる頃、ギャモンくんが突然声を上げた。

「もちろん、先輩のおごりですよね?」

にやにやと意地悪そうな笑みを浮かべているところを見ると冗談で言っているのかもしれない。


なんてこたえよう?
「もちろん僕のおごりだよ」
 と好感度アップを目指す。
「もちろん払ってもらうよ…身体でね」
 と冗談半分本気半分で返す。