重い本を何冊も積み上げそれを抱えて廊下を進む。地学の担当教諭に頼まれて実験室の隣の倉庫へ運んでいる最中、なんだが。
重いし、だるい。
本が重すぎてもう手がしんどい。俺はふらふらとよろめきながら階段を降りようと角を曲がった。

「あ、やべぇ」

角を曲がった瞬間に本がぐらついて上から何冊かが宙を舞った。しかも最悪なことにそこへ誰かが階段を昇ってきた。

「あぶねぇ!!」

「あ?なんっ……」

しかもしかも。その誰かはよりによってギャモンの野郎で。俺が声を掛けた瞬間にギャモンが顔を上げる。が、時すでに遅し。避ける間もなく分厚い本がギャモンに直撃して奴は階段から落ちた。
鈍い音が聞こえて俺は思わず抱えていた残りの本をその場に投げ捨て階段をかけ降りた。

「ギャモン!」

ぶっ倒れているギャモンを起こして名前を呼ぶのだが答えない。それどころか目も開けない。

「お、おいギャモン!」

さっと血の気が引いていく。


どうしようか?
名前を呼び続ける。
保健室に連れていく。