※ルークとビショップのキャラ崩壊が著しい
※最早ルークはルークじゃない





走りに走ってやっと立ち止まったのはフードコートからは遠く離れたエリアだった。脇にはスポーツ用品店。目前にはペットショップが見える。

「おや、ギャモンさん」

その場で乱れた息を整えずれた眼鏡を直しているとその目の前のペットショップから1人の店員が出てくる。
その店員の姿を見、ギャモンは思わず声を上げた。

「お前……ビショップ!?」

「お久しぶりですね」

ギャモンに向かい眩い橙のエプロンを着用し深々と腰を折るPOGの幹部であるビショップに彼は思わず絶句した。何であんたがここに、と聞きたかったが驚きのあまり言葉も出なかった。
そもそもあれからPOGはどうなったのだろうか、なくなってしまったのだろうか。やはりパズルで世界をどうのこうのだなんて言っている組織はこの御時世でやっていけないのだろうか。

「そうだギャモンさん、よろしければぜひ当店の新商品をご覧になりませんか」

「新商品?」

「ええ、とても珍しくて中々お目にかかれるものではないですよ」

ビショップはビジネススマイルで店の方を指して言った。
すっかり店員が板についている様子のビショップに若干戸惑いながらもギャモンは首を横へ振った。

「いや、俺は…」

「ぜひ!ご覧になっていってください!」

「え!?あ、おい!!」

このまま帰ろうと背を向けようとしたギャモンの腕をビショップが掴み意外にも強い力で引っ張られる。ぐいぐいと店内へ引き込まれていく。

「俺は別に興味ねぇし……」

「どうですか、こちらの商品。珍しいと思いませんか」

ギャモンのことなどお構い無しに店の奥まで引き摺られビショップは笑顔でディスプレイを指し示した。仕方なくギャモンも目を向ける。

「…………!!!?」

だが、それを見た瞬間にギャモンの思考は一度停止した。

「……え……あ、これ……いや、こいつ……」

「珍しいでしょう、」

ギャモンは引きつった笑みでビショップとそれを見比べる。ビショップは表情一つ崩さずに言った。

「白いマリモなんて」

「……ルークじゃん……」

もはやこれは新しい地獄絵図か。何故ペットショップに白いマリモという名目で知り合いの生首が水槽に入れられ売られているのだ。しかもそこらの色画用紙で作ったであろう札に、ルーク・盤上・クロスフィールドと黒で書かれた上から赤で雑にばつ印がつけられその上にマリモ(白)と書かれていた。安っぽいことこの上ない。
前世で一体どんな重罪を犯せばこのような仕打ちを受けるのだろう。
ビショップは何も思わなかったのだろうか。いや、色々と思うところがあったからこのような状態になっているのかもしれない。というかもう一度ルークの名前を札に書いた時点でビショップは確信犯である。

「つか、生首じゃん……」

「しかも珍しいのは白いだけではないのです。なんと……」

心なしか楽しそうなビショップが説明を始める。が、その時。
かっ、と。生首の目が開いた。

「うをおおおおおおおおおおおおお!?」

「なんと、喋れるんですよ」

「いや、喋れるとかそんなんどうでもいいっつーか今、目が!目が!!って喋れる!?そりゃあ大問題だな!!」

衝撃的すぎる光景に心臓が早鐘を打つ。ギャモンはもうこれ以上ない位に跳ね上がっている鼓動を何とか抑えようと胸元を掴む。何故だ、ビショップはどうしてこうまで平静でいられる。

「ふざけんなよ訳わかんねぇルークじゃんもうこれまんまルークだろマリモとか言ってるけどそんな訳ねぇよ元お前の上司だよ目ぇ覚ませおっさん!」

「なんと、今ならこの価格!」

「まあお買い得!とか言うか馬鹿野郎!!」

一体どうなってしまったのだビショップといいルークといい、エレナや、そしてソウジも。
もう訳が分からなすぎて自分が正常なのかすら最早よくわからない。

「おや」

ずっと変なテンションを保ち続けているビショップが何かを見付けたように目を見張った。その視線はギャモンの左手に注がれていた。

「これは私としたことが、大事なことを見逃しておりましたね」

正直もうビショップとは関わりたくないと思ったが未だ逃げるタイミングを掴めずにいた。そんな中、ビショップがギャモンを見て笑いだした。

「……なんだよ」

「いえ。そういえば、仲がよろしかったものだと思いまして」

「や、だからなんのことだよ」

「ご結婚、なさったんですね」

おめでとうございますとビショップがさらりと言った。対してギャモンは驚いて目を見張る。

「お、おい、なんでそんな……」

しかしギャモンが言い終わる前にビショップが口を開く。

「指輪。つけてらっしゃるじゃありませんか」

「!!?」

指輪。ギャモンは自分の左手を見た。その瞬間、ショックなのか何なのか。激しい目眩に襲われた。いやもうできることならこのまま気を失って一生目覚めたくなかった。
ついていたのだ。左手の薬指に。何故か見るからに女物の指輪が。今日一日過ごしていて全く気が付かなかっただなんて、いやギャモン自身の記憶が正しければ指輪なんてはめていなかった気がするのだが。

「…………嘘だろ……」

「ギャモンさんとソウジさんがご結婚なされていたとは知らずに、失礼いたしました」

どうして相手がソウジだなんて知っているんだとか、そんなことを聞く余裕なんてなかった。もう限界だった。

「それではお2人の結婚祝いにこちらのルーク、いえ、マリモを通常価格の半分で……」

「もう嫌だ……」

「え?」

不意にギャモンの口から溢れた呟きにビショップは言葉を止めて彼の方を見た。だが次の瞬間、ギャモンがビショップの方に何か投げ付けてきた。その何かはビショップの胸元にあたりからんと音を立てて床に転がった。

「だいたい、何でマリッジリングでりんごなんだよ!!」

そう言い残してギャモンは走っていった。
ビショップは唖然としつつも床に転がったものを拾い上げる。それは先ほどまでギャモンが左手の薬指につけていたりんごのモチーフがついた指輪だった。








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ルークファンに私は土下座すべきなんだと思うよ。いや、私もルーク好きですよ、愛故の行動なんですよwwwww

どこへ行って誰と話しても軸川の影が消えない……というよりもりんごが消えない。もうギャモンはこの先りんご食べれないでしょうね。何度も言いますがむしゃのこはりんご大好きですよ。
そういやソウギャ話なのに全然軸川出てこねぇwwwwwwww
もう少しだけ続きます。次はちゃんと軸川出てきます(笑

もうお気付きでしょう、ええこの話は全力でギャグに走ってます。