流れ星って知ってる?
天体のかけらが地球の大気の中に突入したとき、まわりの空気とすれ合って燃え、光を出すもの。なんだって。
わたしはね、迷い込んだテニス会場でいろんな人の声援を受けてテニスコートに立っているあなたを見て一瞬で恋に落ちたんだ。あ、わたし以外の女の子もみーんなあなたをそんな目でみてたよ。
これって流れ星と一緒じゃない?あなたがいろんな人の声援を受けて一生懸命テニスをする姿は人々を魅了し目に焼き付ける流れ星と一緒だと思う。あそこにいた女の子たちもわたしも魅了されたしね。

そう言ったら精市くんは笑った。何も答えはもらってないけど、これって告白みたいなものだよね。

「俺、流れ星だったの?儚いね」
「…………」
「どうしたの?」
「ほんとだ、儚いね」
「気づいてなかったの?」

精市くんはケラケラ笑う。精市くんとわたしは学校が違う。わたしは精市くんみたいな超有名進学校じゃなくて普通の市立中学校。でもあの時テニス会場内で迷って精市くんを見つけ、わたしが精市くんに恋に落ちた後、なぜか仲良くなった。1年ふたりで友達をやっていたけど精市くんへの想いは強くなるばかり。ほとんど毎日、病院へ会いに行くぐらいわたしは精市くんのことが好き。

「でも上手にいけば落ちてくる」
「ん?」
「ほら、流れ星は隕石になるでしょ?」
「……そうだね」
「でも隕石は燃えきらず、だもんね」
「あぁ…うん」

隕石は流れ星が燃えきらず地上に落ちてきたもののことを言う。それもそれで何か言葉が悪い気がするなあ。あ、でも病気と戦って燃えつきていなくなるより燃えきらずもとの場所に戻るってのは……。

「ここで…燃えきらずにテニスコートで燃えつきるのがいいな、俺は」
「え?」
「病気には負けたくない」
「精市くん……」
「ね、俺が隕石になったら見つけてくれる?」
「、もちろんだよ!」

そう伝えると精市くんはふわりと微笑み「まだ隕石にもならないけどね」と言いながら、ベットから降りて窓まで行き外を眺める。外はもう真っ暗でわたしも早く帰らなきゃ、危ないし両親に怒られそうだ。

「ちゃんと完治して、立海に戻って、テニスができて、全国大会が終わったら、君に伝えたいことがあるんだ」
「え、なに?」
「ふふ、その時に教えてあげる。聞いてくれるかい?」
「もちろん!」

聞くに決まってる。なにより今聞きそうになったし。外を見て喋っていた精市くんは後ろを振り向きわたしと視線を合わした。儚く微笑む精市くんに、わたしの心臓が小さく波打った気がするのは気のせいじゃない。きっと気のせいじゃない。

「約束ね」
「うん、約束だよ」



宙ぶらりんの流れ星



(溢れだしてしまいそうなぐらいふたりの想いは大きいのに)(目の前にいるふたりの距離はまだ遠い)



(110518)
過不足さまに提出(企画)

SP Thanks ♭



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