きらきらの眼差し


「なー、その黒い鞄なに?」
黒い鞄?
よく言っている意味がわからなかったので隣の席の田島が指差した方へ視線を向けた。
するとそれはどうやら机の横に掛けたクラリネットのようで。
まあ、確かに知らない人から見たら不思議だよね、としみじみと思ってみる。
「クラリネット、だよ」
「クラリネット?」
「うん、楽器だよ」
そう答えると田島は目を輝かせてそっか、椎名吹奏楽だもんな!なんて言いながらケースに入ったクラをまるで珍しいものを見たかのような表情で眺めている。
どうやら中身が相当気になっているみたいでうずうずし始めている田島は何だか同い年には見えなくて正直可愛い。
そんなに気になるのかなあ。
「…中、見てみる?」
「え!いいの!?」
机の上にのせ、ケースを開ける。楽器特有の匂いがして、中学からの付き合いであるクラリネットを田島の方に向ける。
本当にクラリネットが珍しいようでしげしげと見つめてへえ、なんて気の抜けた声を出している。
突然顔を上げたかと思うと今度は私の顔を眺めだした。
私の顔、何かついてるのかな?
「椎名、かっこいいな!」
田島独特のニカッとした笑顔でいきなり言われて、一瞬何がなんだかわからなくなってしまった。
「え、なにが?」
「だって楽器吹けるとか超かっこいいじゃん!
俺そういうの全然ダメだからめちゃめちゃ憧れるぞ!」
「…ありがとう」
キラキラした瞳で純粋に言ってくれた田島に不覚にもすごく顔が緩んでしまった。
きらきら輝く君へ
(「いつか試合の応援で椎名の音、聞かせてくれよな!」)
(「―――うん!」)




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allegloさまへ
ありがとうございました!!!



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