ガタンガタン。
ゴンッ。
変な音がした。
普段はエクソシストとして外に出ている私だが、今日は珍しく何の予定も無かったので自室に引きこもっていた。
この間怪我をしたのと、本当にする事が無かったのが理由だ。
読んでいた本にブックマークを挟み、変な音を探ろうと扉をあけたら何かがぶつかってきた。
「いたっ!……って、神田!」
「寝かせろ」
頭をぶつけたのか、神田は頭を押さえながら私の部屋に入ってきた。
ボロボロの団服を見る限り、そこそこ苦戦して勝ってきたんだろう。
労ってやりたいのはやまやまなのだが私も年頃の女だ。
既にベッドに横になった彼だって年頃の男だ。
何かあるとは言い切れないが、何も無いとも言い切れないのも事実。
「自分の部屋で寝なよ」
「ここのが近い」
どれだけ疲労しているのかはわからないが、相当ストレスも溜まっているらしい。
普段はいくら疲れていようが、ちゃんと自室に行って眠るのに。
「自分の部屋のが好きなんじゃないの?」
「窓割れてて寒いんだよ」
「神田…それずっと前にも言ってたよ…」
窓を直してぐらい言えばいいのに。
どうせ神田の事だからめんどくさいとかどーでもいいとかお前には関係ないとか思ってるんだろうな。
それに他人を部屋に入れたくないっていうのも、きっと理由の一つだ。
「黙れ、寝かせろ」
「……神田」
「あ?」
「おかえり」
「……ああ」
「生きて帰ってきてくれてよかった」
「誰がくたばるかよ」
鼻で笑った神田。
誰がくたばるかよって言った?
言ったね。
「お前だよこのアンポンタン。この間の大怪我を忘れたとは言わせない」
「……記憶に無い」
「神田の猿並みの記憶力に乾杯したい気分」
「すんな、うるせぇ」
「そう?」
「寝るから、お前一人で騒いで起こすなよ」
私のベッドに横になる神田を見ていたら私もあくびが出てきた。
暖房器具のおかげで部屋の中の酸素が少なくなっているのか。
「そっちこそいびきとかで起こさないでね」
「言ってろ」
あ、また鼻で笑いやがったな。
腹いせに枕をふんだくってやった。
暖房は消して、二人で並んで寝ていたらそれはまるで暖かい海のようで。
深海
に
て
浮遊
す
る 。
***
企画「休憩」さまに提出。