ピンポーン。
上条当麻の家のインターホンを押した。暫くして出てきたのは本人。
「…どちら様?」
「初めまして、あなたと同じ学校の名字名前といいます。青髪ピアスの伝を辿ってやって参りました。お時間少々いただけないでしょうか」
学生証を見せた後に、あ、これナイトストアのケーキです。
といって箱を手渡し、ナマモノなので冷蔵庫に入れることを勧めた。
話は長くなるだろうし、食べ物に罪は無い。
上条当麻が戻ってきて、で話は?と聞いてきた。
その緩んだ顔を見て私は右ストレートを上条当麻の顔面にぶちこんだ。
「なっ…」
「あんたがどんな思いで一方通行を殴ったか知らないけど」
すっとんだ彼の胸ぐらを掴んで、今度は平手で耳をパァンと叩いた。
三半規管に届く殴りかた。
脳震盪になってもおかしくはない。
「うっ…、お、い!」
「私にとっての一方通行は大切な親友なんだよね」
そんでもって、その大切な親友の努力を無にしやがって。この、ウニ頭が!
そしてそのまま拳で頬を殴り。
反対側の頬を殴り。
さらに反対側の頬を殴り。を繰り返して、次はお腹を殴りまくって、他にも肩や胸や鳩尾を殴り。
「あんたのせいで!」
ついには私の右手が先に壊れそうだったので、攻撃をやめた。
「……上条当麻」
「は…?」
「さっきのケーキは実験を止めやがってくれたお礼だよ。そんで今ボコしたのは一方通行を殴ったお礼。筋違いかも知んないけど、こっちは大変迷惑してんだからね」
「……わ、」
がくんと垂れ下がる上条当麻の首。
反応はない、というところをみると、気絶したっぽい。
「ほんとに、実験を止めてくれたのには感謝してるんだけどね」
目的は果たした。
私も右手をいろいろやっちまったので医者いってから帰ろう。
アクセラいつ帰ってくんだろ。
もしかしたらもうこのまま帰って来ないつもりなのだろうか。
予想は当たっていた。
それからしばらくアクセラは帰って来なかったし、音沙汰も何も無かった。
家に住んでいた迷惑な居候は、もういなくなった。