考えたくないけどこれはトリップと言うやつじゃないか……?
とあれから1日経ったところでそう思った。
そう、あれから丸一日。
私は鞄に入っていたお弁当で1日を過ごしたのだ。
夜は寒いし泣きながらボロボロになって、帰りたい帰りたい叫んでいた。
なんでこんなことになったのかもわからないし誰も教えてくれる人はいない。
しかし、人は環境に適応するもので、一日も経てば冷静にもなる。
そして至った結論がトリップ。
…我ながら頭がいたい。
トリップって…!トリップって、なんで!!
確かに夢見ていた事かも知れないけど、こんな苦痛(丸一日駅のホームで一人)を味わうくらいならベッドの中で大好きな夢小説でも読んでいたかったさ!
神様が出てくるわけでもなく、主要キャラとラブコメになるわけでもなく、最強設定なんてもんになるわけでもなく!!!!
何故こんなホームレスみたいな状況になってるのか聞かせて欲しいね!
「あーあっと」
ただっ広い駅のに一人きり。
このままここに居ても何なので、私は線路の上を歩く事にした。
列車が進んでいた方向に。
1日経っても他の列車がくる気配がないので、恐らく轢かれることもないだろう。
そんときゃそんときだ。
そんな心構えで私はホームから飛び降りた。
「うおっ!!」
案外高いのでバランスを崩した。
「ちくしょー幸先不安だぜ」
起き上がってリュックを背負い直した。
残念な事に線路は続いてる、どこまでも。