列車が出てから徐々に人がいなくなり、ついには私一人になった。
すり抜けやがった柱の元に近づき、手を触れる。
触れた。
触れた…?
「あれ?」
すり抜けてくれない。
「…あれ?」
すり抜けてくれない柱を見つめる。
諦めて地べたに座りこんだ。
そして背中にあったリュックをおろす。
そういえば持っていたな。
……改めて落ち着いて考えてみたら私は携帯をもってるじゃないか!!
誰かに連絡……!!!
期待を込めて開けば、圏外という文字が見えた。
へし折りたくなったが堪える。
「帰宅したいよおおおぉぅう!!!」
もーやだ。
何この状況笑えないんですけど。
わたしだってJKらしく「えーまじありえないウケるーかっこワラ」みたいな事言えたら言いたいわ!心の底から声を大にして言いたいわ!
そんな軽くないよこの状況!
頼む帰宅させて。