「ナマエ、着替え持ってきて」

リリーさんが、そう言い放ったので大人しく着替えを持った。
なんだろうと思ってそのまま着いていくと、リリーさんは変な所で止まった。
突き当たりの所、目の前は壁だ。

「リリーさ、」

声をかけようとしたら目の前の壁がミシミシ音を立ててあっと言う間に扉になった。隠し部屋みたいな所なのだろうか。
それとも生徒なら誰もが知ってるような所なのか。

この学校はいろいろとわからない事ばかりだ。

「必要の部屋よ。それじゃあゆっくりね」
「は?」

リリーさんは出ていった。
その扉を見ていると、それは徐々に通常の壁に戻っていった。
え、なにこれいじめ?

地べたに座って、どうしたもんかと壁を見つめる。
すると後ろから何かの香りが漂ってきた。

「……温泉だ」

必要の部屋って、そういう事なのか。
リリーさんは、私に温泉を与えてくれたのか。
この間の、泣きわめいた日に私が何か言ったんだろうな。
正直あの日の事はほとんどなにも覚えちゃいません。
ただひたすら謝らなければという思いでいっぱいいっぱいだった気がする。

お湯に浸かるのはいつぶりだろう。
リリーさん曰く監督生だけが入れるお風呂があるらしいが、これはそれでは無いらしい。
この温度は日本特有の熱湯だ。熱い。
リリーさん本当にありがとう。


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