今日は土曜日なので授業は無い。
そういう訳で朝御飯を抜く勢いで寝ていると、部屋の扉がノックされた。
気付かないフリをしてこのまま寝過ごそうとか思って布団を頭まで被った。
「ナマエ」
ノックしてきた人はあろうことか部屋に入ってきた。
おー、リリーさん相変わらず強引やね。
「起きて、ナマエ」
「うぃー…、なした?」
「朝御飯食べ損ねちゃうわよ」
「いらないのでリリーさん食べてきていいよ」
「そう?あんまり食べないと体壊すわよ」
「ピザとパスタとドリアにラーメンが出たら食べる」
最後だけ中華だったのは、私がラーメンが好きだからだ。
ここでは麺類が出ないので、そろそろ禁断症状が現れそうだ。
うどんそばラーメンそうめんが食べたい。
お箸が使いたい麺をすすりたい。
ごはんも食べたい、のりも食べたい鮭が入ったおにぎりが食べたい。
しかさここではそんな素朴な味のものは出ない。
私は日本の食文化だけは愛していたのに。
ちくしょうトリップなんかさせやがって!
知っていたけどやっぱ神様なんていねぇ。
しばらく布団の中をゴロゴロしてからやっと行動する気になって部屋を出た。
談話室には人が沢山いて寛げそうにも無かったが、暖炉の前には誰もいなかった。
ぬくぬくしようと思い、そこに腰を下ろし適当につかんできた本を読み始めた。
斜め読みでペラペラとページを捲っていると、隣に誰か座ったのがわかった。
この人も暖炉パワーにあやかりたいのかと思いスペースをわけてあげようとちょっとだけ横にずれた。
これが日本人の気遣いというやだ。
「美味しかった?」
この人は私に話し掛けているのか、と顔を見る。
「あ、カエルチョコの人」
「こんにちはナマエ」
カエルチョコの人はにこやかな笑み浮かべ、手をちょいとあげてすぐに下ろした。
同じ寮だったんだ。
「美味しかったですよ」
「そう、それは良かった」
「…お名前何でしたっけね」
「リーマス・J・ルーピン。リーマスでいいから、僕もナマエって呼んでるし」
リーマス、リーマス、よし覚えた。
彼に改めてカエルチョコのお礼を言ったらきみ馬鹿丁寧だね、と少し驚かれた。
それを売りにしてます、なんて冗談を言ってみたらリーマスは大きく笑った。
そんなリーマスをみてこちらも笑顔になる。暖炉の前で二人して笑っているのを不審に思ったらしいジェームズが心配そうに声をかけてきた。
新しく友人が増えました。