目の前の人が何かを落とした。
条件反射のようにそれを拾って、目の前の人を呼び止める。


「あの、落としましたよ」


そう声をかければその人は振り返って、私の手の中のものを見た。


「それ僕のカエルチョコ?」
「あなたのローブからころりと出てきましたが」
「ありがとう。それ君が嫌いじゃなかったら食べていいよ」
「まじすか、あざっす」
「じゃあねナマエ」


カエルチョコの存在は知っていたが、食べたことは無かった。
ジェームズから聞いた情報によると、開けた瞬間にカエルがびょんと飛び出てくるらしく、食べる直前まで本物さながらに暴れまわるのだそうだ。

お小遣いなんて持っていないし、お出かけもしたことがない私は、外の世界は知らないもので溢れている。
食べ物だって学校にいれば困ることも無いし、こういったお菓子は初体験だ。
落ち着ける場所で食べようと思い、それは自分のポケットに入れておいた。



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