食堂に着いてからリリーさんはサンドイッチを食べながら先程の話をし始めた。
私は牛乳を飲みながらその話に耳を傾ける。


「私は監督生で、貴女は転入生。案内するように頼まれたの。迷惑だった?」
「へ。あ、いや、お世話になります」
「よろしくね」
「うぃ、こちらこそ」


リリーさんはリンゴジュースを飲んだ。
私もなんとなくそれに見習い牛乳を飲んだ。


「ハローハローお嬢さん方ご機嫌いかが?」
「おはようジェームズ」
「おはようナマエ。今日もちまっこくて可愛いね」


…。
え、これ喧嘩売られてる?

喧嘩かどうかを考えているうちに彼はマーフィーと呼ばれる生徒を押し退けてリリーさんの前に座った。
あれ、なんかデジャヴ。
確かジェームズは昨日もマーフィーくんを押し退けてた。


「お、転入生も一緒か」


初めて見る人がジェームズの隣に座った。つまり、私の前。
脳足りんな私でも、彼がジェームズの友達だと言うことは分かる。


「初めまして。おはようございます」
「ナマエ、君堅すぎ!シリウスは見た目ほど近付きにくく無いよ」
「えー。俺の見た目近付きにくい?」

シリウス?って名前なのだろうか。
確か星にもそんな名前のがあったような。
肉眼で余裕で確認出来るほど明るい星。


「イケメンすぎて僕は嫌だね。ねぇリリー」
「ノーコメント」


イケメン…?
こちらでのその定義はよく解らない。
けれどまじまじと見てみればなるほど顔は整っている。


「ナマエ、見すぎよ」
「あと顔怖いよ」
「ごめん、シリウスくんのイケメンの度合いが解んなくて」
「なんだと。よしナマエ、俺とジェームズ見比べてみろ」


いきなり呼び捨てされた。
なんっで外国ってこんなにフレンドリィなのだろうか。
下の名前を同年代の異性にさらりと呼ばれると正直照れる。
しかしこっちではこれが普通なのだろう、そう考えれば慣れるしかない。

シリウスくんに言われた通りに二人の顔をじっくり観察した。


「二人ともイケメンだと思う」


どっちが上かと言われても困る。
二人とも顔は整ってるので判断つかない。
それに基準が解らないし。


「日本人ってはっきりしねぇ答え方するよな」
「まあ、状況にもよるけど…そうっすね。っていうか空気を読むのが上手なだけだよ」
「なるほど。ところでナマエはチキン好きか?」


いきなりなに。
シリウスくんは私にチキンは好きかと聞いてきた。
なぜいきなりそんな質問をするのか不思議に思い、彼を再び観察する。
……シリウスくんは自分のお皿にチキンばかりをのせている。
余程好きなのだろう。

私は鶏肉は好きだKFCしかり唐揚げしかり焼き鳥しかり、おいしいしお酒にもよく合う。


「好きだよ」
「…」
「…」
「…」


あれ?

今、自分の思考の中に言ってはいけないワードが入っていたように思う。
それは流してほしい。
第一飲むお酒のアルコール度数そんなに高くはない。

いやそんなことはどうでもいい。
それよりこの人たちの反応がおかしいんだけどもしかして声に出てた?
んな馬鹿な。


「ナマエ、もう移動しましょう?」
「うぃ。あ、ねえリリーさんこっちの授業ってどんな感じ?」
「うーんそうねぇ。恐怖と自由足して割って2くらいかしら」


恐怖ってなんぞや…!?



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