朝御飯は食欲が無いので抜こう、と思って布団を被り直した。
もう少し寝ようと思った矢先にコンコンと控え目なノックが聞こえた。


「うぃー。どちらさまっすか?」
「リリーよ。リリー・エバンズ」
「ああハイ、リリーさんっすね。開いてるんでどーぞ」


寝惚けていたので気付かなかったが、私はリリーなんて人は知らない。
段々と意識もはっきりとしてきて、彼女が入ってきた時点で体を起こした。


「いやいやいやきみ誰?」
「リリーよ。聞こえてなかった?」
「え、聞こえてました」
「ならいいじゃないほら起きて」


なんなんだこの子。
かわうぃーのにヤバい強引なんだが。

しかしそう思いつつも、なぜか逆らえない私はそのまま彼女の言う通りにした。
改めて自分を見れば制服をきっちりかっちりと着こなしている。
流石に苦しい。
それに世間様に反発したいお年頃の私は、ローブを羽織ってからネクタイを緩めた。

「朝ご飯食べに行きましょう」
「食欲無いので遠慮しまっす。リリーさんお一人でどうぞ行ってらっしゃいませ」


なんで私がこの子の朝食に付き合わなければならない。
そのために起こされたのならば、少し損した気分だ。

ベッドの上に座ると、リリーさんは振り向いて笑った。胸くそ悪い笑顔ではない。


「教室」
「は…?きょうしつ?」
「分からないでしょう?」
「ええ、はい、確かに」
「だから朝食もご一緒しない?」
「うん?」


やたらと疑問符の多い会話だ。
理解するのに頭を使う。



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