風景を切り取る。
連続で何回も。

「…どっかに良い被写体いないかねぇ」

自分の腕がないのを被写体のせいにする十八の夏の真っ昼間。
手汗でグリップがすべる。

やべぇあつい。

「おじょーさんっ、なーにしてんのっ」
「うあああああ!!!?」

首筋に冷たいものがあたって驚いた私はカメラを手放してしまった。
ストラップのおかげで落としはしなかったけど、振り子のようにカメラが鳩尾に入った。

「……!!!!!」
「悪い…大丈夫か?」

犯人は達海さんだった。
ちくしょう一回コケろ。

「なになまえちゃん写真好きなの?」

達海さんが買ってきてくださったスポドリを飲む。
彼いわく途中で私を見かけて、熱中症になったら大変だと言うことで差し入れを持ってきてくれた。だそうだ。

「はい、勉強中です」
「18なのにしっかりしてんなー」
「達海さんっていくつですか」
「俺ー?俺は35とかその辺」
「えっ!?もっと若いと思ってました」

これはガチな話で、私は彼を30ぐらいだと思っていた。
もちろん見た目が若い事もあるしこの人の場合は言動も若い。良い意味で。

意外、うちの父と1つしか離れてないなんて。

「じゃあ今度俺らの練習風景撮りにきたらいいよ。喧嘩ばっかしのチームだけど」
「良いんですか!なら是非!」
「お、良い返事。じゃあまたな」
「はい。あ、これありがとうございました」
「うん」

今日はこれくらいにして帰ろう。
……微妙な写真ばっかり手元にあるんだけど、加工でもして遊ぼうか。

新作のデザインでも考えるか。
うん、そーしよう。





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