二度寝起床後。
「今日はお手伝い無いんだっけ」
「無いよ。ねえ母よ、本当に私が卒業出来なかったらどーしてくれんのさ」
「留学させるから」
おにぎりを咀嚼して飲み込む。
そして今の母の言葉に少しだけ驚いた。
「それ本気?」
「あんた何のために毎年フランス行ってるのか解らないの!?」
「え、ばあちゃんに顔見せに?」
「それもあるけどそうじゃないわよ、お菓子の研究」
そんなことは解っていた。
ただ、自分では言いたくなかった。
ケーキ屋なんて…っ!
いやお菓子作り楽しいしケーキ美味しいし可愛いしお父さんは誇りに思ってるけど…っ!!!
ただ、なんだか敷かれたレールの上を走らされてる気がして、無性に反抗したくなる。
まあグレたってお菓子作りしか取り柄が無い私は、結局ここに来るんだろうなあって、自覚はあるんだよ。
だから最近は良い意味で諦めた。
「ケーキは大好きだよ……、そら好きだよ、美味しいし甘いし可愛いし。そうだよ大好きさゲヘヘヘ」
「なにその汚い笑い方」
「ただ肥るよなあ…と」
「まあ肥るわね」
年頃の女がケーキをばくばく食べてぶくぶく肥るわけにはいかないのだ。おにぎりを食べ終えて、手を洗う。
「そんじゃあ私は散策してきま!」
「日焼けに気をつけて」
「わかってるっ」
チャリと一眼レフと携帯と財布をもって家を飛び出した。
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