休憩中にハーゲンダッツを食べていると、世良さんが走って近付いてきた。
むっ、これは!

「なまえちゃーん!ヒトクチ!」
「超遠慮しときます」
「えー」
「世良さん良い年してそんなかわいこぶっても答えはノーですよ」

世良さんに背を向けて、ハーゲンダッツをまた口に運ぶ。

「世良さん、視線が痛いです」
「良いじゃん美味しそうなんだもん」
「自分で買ってくださいよ」
「金無いし…」

しょんぼりする世良さんはまるで犬のようでなんだかときめいた。
感情をすぐ表に出す人って羨ましい。

「じゃあ抹茶なら良いですよ」
「うおっまじで!」
「抹茶そんなに好きじゃないですし」
「なまえちゃんまじで良い女になるよ」
「わーありがとうございますーすっごくうれしー」
「わー棒読みー」

世良さんはアイスのふたをとって食べ始める。

「やっぱうまいなー」
「何食ってんスか?」
「あ、赤崎さん」
「おーザキ!俺今なまえちゃんからハーゲンダッツ貰ったんだぜ!」
「……俺には?」

じっと見詰めてくる赤崎さん。
これ以上は嫌だ、あげたくない。
しかし赤崎さんはちょっと恐い。
あげないとどうなるかはわかんないけど、あげたくない。

「無い方向で…」
「世良さんにはあげて俺には無いと?」
「あーっ!と休憩終わるんでした!失礼しまっす」

逃げ切った、ぜ!






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