「なまえちゃん、あーそーぼー」
「……世良さん、トトロですか?」
「いや?サッカーしたことないんだろ?野球もいいけど、サッカーの楽しさも伝えようと思ってさ!」

にっこり笑う世良さんは眩しい。
この人輝いてるなって思う。

そんなきらきらした人のお誘いを断れる訳もなく、私は有里さんにジャージを借りて走っていた。

「脇腹めっちゃ痛い…」

食後すぐの運動ってキツいんだけど。

「なまえちゃーんファイトー!」
「走れー!」
「もっとペースあげてけー!」
「追い付いてないぞ」
「そこは横から奪えるだろ!」
「なんていうか、その……無理はしないでね」
「椿さぁあああん!!」

唯一私を気にかけてくれる椿さんのお心遣い感謝致します。
今とても脇腹痛いです。

「ボールいったぞー」
「はー、いっ!」

タイミングを見計らって足を振ったが、スカした。
…超超超初歩的なミス。

一瞬時が止まって、私はすごく恥ずかしくなった。
初心者ですみません。

「…誘った俺が悪かったよ」
「ごめんな、走れとかって」
「走っても蹴れないもんな」

哀れむ皆に苛立ちを感じた。

「どーせ運動音痴の気持ちなんかプロのサッカー選手にわかるわけないんだうわあああああん椿さぁぁぁあああん!」

感情が爆発した。

軽く冗談だけども、椿さんに抱きついた。
なんだいなんだいみんなして馬鹿にしてこっちはやりたくもないサッカーやらされて、文句言われて、馬鹿にされて、ムカつくし悲しいし悔しい。

「なまえちゃんは足じゃなくて腕があるから大丈夫だよ。俺ケーキなんて作れないし、事務の作業も出来ないからさ」
「うえええっ、椿さんはいい人だー。他の人は酷いよー。サッカーなんてできないし出来なくていいのにー!うわぁぁぁぁぁっ!サッカーなんかだいっ嫌いだぁぁ!」
「よしよし」
「でも椿さんは大好きだああ」
「えっ…!(やった!)」




「告った……!?」
「椿も嬉しそうだな」
「つかなまえちゃん泣かせましたね」
「泣いちゃったんだろあれは」
「泣いても言動が可愛いなあなまえちゃん。でもサッカー嫌い発言はちっとキツイね」
「監督、あんたサドか……」
「まあこの場は椿に任せて、今日馬鹿にしたやつは全員なまえちゃんにハーゲンダッツ奢ること!柿の種でも可!」
「じゃあ俺は両方だな」
「俺もそうしよ」
「…俺も」





翌日は「昨日ごめんね」という言葉と、ハーゲンダッツや柿の種を大量にもらった。
ハーゲンダッツは冷凍庫に入れさせてもらった。
何個あるかを数えてそれもメモした紙を貼っといた。
パクられないようにの対策だ。
柿の種はその日持ってかえって大切に保管してあったり、食べたりしている。

これでよし!






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