「王子、休憩スか」
「あんまり汗はかきたくないからねぇ」

第一印象 強烈

たったこれだけの会話の中に突っ込みたいことがいくつか出てきた。

王子って
汗って

え、なにこの人貴族!?

驚いた私は、王子とやらをぽかーんと見つめたままになった。
そしてそんな状態の私を王子が気付いた。
まあこれだけの至近距離ならそうなるよ!

「こんにちは……」
「こんにちは、君はバイトの子かな?」
「はいみょうじなまえです」
「そう。僕の事は王子と呼んでくれて構わないからね?」
「本名はルイジ吉田」

横から達海さんが教えてくれた。
あ、ハーフの方なんだ。
私もクォーターだからちょっとだけ親近感!!

「吉田さん」
「なまえ、王子って呼んでくれる?」

いきなり呼び捨てって!
日本人の慎ましさは!?
あ、そっかこの人ハーフか。

「王子…」
「ん、なんだい?」

やけに吐息を孕んだ吉田さん。

「はいストーップ。なんか今エロい空気流れてたけどこの子高校生だからね」

達海さんが手をパンパン叩いて場を仕切り直す。
エロいと言われても、色気を出してるのは私じゃなく吉田さんなんだからしょうがないでしょうよ!

「なまえちゃん、俺と一緒に日影に行こうなー」

ガシッと肩を組まれて一緒に歩いていると後ろから声が。

「タッツミーといると援交に見えるけどなあ」
「本当に下心があんのとタラシでやってんだったら下心の方が愛があるに決まってんだろ?なあなまえちゃん」

ドン引き!!

私は達海さんから離れ、吉田さんに近づかないようにしよう!と椿さんと赤崎さんの後ろに回り込んだ。
ここの人は冗談が過ぎる!!

「私は誠実な人が好きです!」
「ホラ、結局は若さなんスよ。年食ってる人は信用出来ないって」
「はは、大丈夫?」

赤崎さんの言っていることも理解出来なかったが、椿さんはいい人である。
コノヒトイイヒト!!イイヒト!!

「だ、大丈夫………じゃないです」
「椿、日影に連れてけ」
「はい。なまえちゃん行こうか」
「わかりました」




「いやあ、案外可愛いなーほんと」
「彼女、からかい甲斐があるよね」
「見てて面白いってのはありますよね」
「バッキーと一緒だと倍可愛いよ」
「あー俺わかるわそれ」
「やっぱ若いからですか」
「学生時代の椿はきっとサッカー以外は見てなかっただろうしな」
「簡単に想像つくね、女の子に慣れてない感じとか」
「(あんたは慣れすぎなんだよ)」







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