放課後になったら直ぐに帰宅して修学旅行の準備をしていたらあっという間に夜になった。
念の為に荷物は全て七海に預けて、待ち合わせ場所に向かおうとしたら美鞍が迎えに来た。
最近気付いた事なのだけど、美鞍家と私の家は結構近所らしい。


「逃げねぇよーに言われてて。迎えに来た」
「あーそう。わざわざお疲れ様です」
「あ?A・T履かねぇの」
「こんな事に使えません」


A・T着用中の美鞍も中々スピードは速いらしい。
ダッシュだけならあのチームでダントツ。
私には真っ直ぐを速く走る能力が無いので羨ましい。

待ち合わせ場所は歩道橋の所。
そこで鰐島さんの車を見付けるそうだ。


「そんな都合良く来るものじゃねぇと思うけどよ」
「私もそう思う」


美鞍と並んで走る。
彼はA・T履いてるから楽だろうけど私はロードレースな気分だ。
正直しんどい。


「美鞍さんや」
「あ?なに?」
「おんぶプリーズ」
「お前もそこそこ男嫌いじゃなかったっけ」
「背に腹は変えられない時もある」


どうせ行く先は同じだ。それ美鞍はA・Tを装備している。これをアッシーに使わないで何をアッシーにしろと言うのか。
そして美鞍の背に乗った私は、先程までの苦労を鼻で笑った。


「ねぇアッシー」
「…それケッコー複雑な気分」
「A・T楽しい?」
「ったりめーじゃん。みょうじは飽きたっつってっけど、俺は当分飽きるってねぇと思う」
「ハァーン、ユーアーA・Tバカ」
「発音酷ぇよ」
「それを合の子に言われたらもうどうしようも無いよね」
「差別用語!!」


歩道橋が見えてきた頃に、美鞍から降りて歩いていく事にした。
時間にルーズな人達なのは夜の学校に忍び込むときに学んだので今回は急がずゆっくり集合場所に向かった。

歩道橋を登りきった所で南達が居るのを見つけた。
私達が最後であるらしい。


「おっせーよ」
「文句があるなら帰りますが」
「すいませんっしたみょうじさん!」


私が此処にいるのはボランティアみたいなものだ。
しかもノット好意的。
今日は好きなときに離脱してやろうという覚悟で来ている。

鰐島さんの車探しは他の任せて私は地べたに座って空を見ていた。
真っ暗で星も微かにしか見えない。
それを見て思うことがある。


「お腹空いた」
「いや、みょうじそれ星見て言うことじゃなくね」
「鰐島、これ済んだらご飯奢って」
「全然いーよォ!!なまえちゃん何食べたい?」
「イタリアン系。京都行ったら絶対和食しか食べれないしね」
「わーい!!」


そんなこんなで今から地獄に行きます。


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