「へぇ、鰐島の修学旅行のお金を取りに行くの」
手伝ってくれるかなと言う期待を込めて七海に伝えてみると、他人事のようにそう言った。
「あ、手伝ってくれないパターンですね。知ってる」
「修学旅行のお金ぐらいならなまえが払ってあげれば?10万くらいなら余裕じゃない」
「無理です。10万円なんてそんな大金貸せない」
「あら、なまえならいけるわよ」
「やだよ。それに盗ってくるって決めたんだから」
「すること強盗と変わらないじゃない」
七海は食べ終えた弁当箱をしまって席を立った。
そしてじゃあねと言ってそのまま教室からログアウトした。
彼女の昼休みは職務に追われていてとても忙しい。
昼休みでさえ忙しい七海が手伝ってくれる訳がない。
それを彼らに伝えると、そうだろうなと返ってきた。
「湖紀は無理だろうな。さてどーすっか」
「盗りに行くんでしょ。私先に鰐島さん捕まえて鞄持って帰るから」
「「「いやいやいやいや!!」」」
声を揃えて否定するみんな。
大丈夫だと思うんだけどな、君達が思ってるよりいい人だって鰐島さん。
お金もすんなり渡してくれるはず。
多分。
「じゃあ、オレとオニギリが車止めてる間にブッチャが扉こじ開けて、イッキと亜紀人とみょうじが突入って感じで!」
「おー!」
「決行は今日!」
「めんどくさい」
「みょうじやる気ねぇだろ…」
あるわけがないだろうそんなもの。
会いたくない奴に、どして自分から行かなければならない。
私だって好きで鰐島さんに会いたいわけではないのだ。
「私何にもしないから」
「とかいって助けてくれんだろ。湖紀と違って」
「七海は良い人だって。ただ男の利益になることはしたくないだけであって損害になることなら喜んで手伝うよ多分」
「ダメじゃん」