結局は行かなかった。
というか行く気も無かった。
そもそも行かなければならない理由もないし、私達が行った所で意味もなかったからだ。
南達は無事にポチョムキンって所には勝ったらしい。
そしてチーム内の絆も深まったらしく、私達が行かなくても全然問題は無かったようだ。
徐々に関わる事も少なくなってきた。
あいつらも諦めてくれたなら、これからは平穏に過ごせるだろう。
「おい南!何こいつ、学校関係者じゃないよね、説明しろ!」
…と思ったのも束の間だった。
後ろで七海のブチ切れている声がする。
確かに気になってたけど、触れないようにしていた事だ。
「どうも初めまして七海様。いや、光の王と呼んだほうが宜しいですか?」
「んなこたァどーでも良いの!なに気安く名前で呼んでんの、キモいんだよ!!」
「佐安良です。どうぞよろしくお願いいたします」
うわあああ。
七海こえぇよ、おい止めろよまじで。
私が七海と気まずくなるんだよ、例えば帰り道とか。
まじで。
口が悪くなった七海は私にも止めようがない。
美人が怒ると怖いのに、七海がブチ切れてたら死んじゃうんじゃないかってくらい怖い。
「なまえちゃーん…あれ止めようよォ…」
ついこの間退院した………ええっと誰だっけ、あ、鰐島亜紀人だ。
私は鰐島咢も亜紀人も学校で話した事はほとんどないのに、この馴れ馴れしさはなんだろうか。
男が私の腕をとって絡めとったって全然嬉しくない。
「やだよ、私は関係ないもん。美鞍でも投げて七海にぶつけてみれば?多分死ぬけど。その間に私は帰宅するから」
「コラァア!!そういうこと冗談にしろ本気にしろ言わないでくれ!まじ逝きそうなる!!」
「君はウスィーから大丈夫だ」
正直バカな奴らと思うことが度々ある。
まぁ人の事も言えた立場じゃないんだけど。
「………あの人修学旅行もついてくる気なのかな、正直それは引く」
「修学旅行かぁー…」
「なに?」
「んーんー、ちょっと考え事」
そう言った鰐島は悲しげな顔だった。
少し気になるが鰐島に会話を打ち切られたので、私もそれ以上の事は聞かないでおいた。
中山は鰐島が気になってる風だった。
意外と好奇心旺盛みたいだ。
「覚悟しな!!」
「え!!?何でオレ!!?」
後ろは今片付いたみたいだ。
南が不審人物を学校内に入れたのが悪いという結論に落ち着いたらしい。
「なまえちゃんっ」
急に鰐島が抱きついてきた。
だから男に抱き着かれても嬉しくないんだってば気持ち悪い離して頂きたい。
「お兄ちゃんの所まで付き合って…」
「わにじまんの所?何で?」
鰐島が事情を話してると南も(生きてたのかお前)御仏も美鞍も身を乗り出してきた。
もう二度とあの人に会うことは無いと思ってたのに。