IN夜の学校。


「会長、夜の学校って忍び込んで良いものなんですか?」


七海とならんで校門の前に立つ。
夜の学校…テンション上がるけど、内申悪くなりませんように。
今年受験なのにそれは困る。


「…忘れ物って言うのがセオリーよね」


相変わらずの生徒会長にあるまじき発言。
これについてはもう突っ込まない。
しかし私は彼女のそんな所も大好きある。


「だよね」
「て言うかあいつら遅い。人を呼んでおいて遅刻ってどうなの?チームのメンバーじゃないこっちのが早いって」
「ほんとにね」


これ以降二人とも喋ることが無くなり沈黙が訪れる。

夜の学校は昼間とはまた違う雰囲気で、お化けとか出てきそうだと思う。
霊感強い七海もいるからマジモンが見れるかもしれないので非常に楽しみでもある。


「七海は『本当』の調律はしたいと思う?」


南達が来るまでの間、久しぶりに七海にA・Tの話を持ちかけた。
私は七海の。七海は私の調律者なので、昔はお互いにA・Tを交換して調律する。


「別に。私達の場合は必要無いじゃない。玉璽が既に私達用なんだから」


舞の王も光の王も、私達以外はなれない。それは、他の人が私達の玉璽をはいても一切動かないからだ。
不思議な事に。
だから私達の調律は、人体ではなく機械の方。
普通の人とは違う、私達だけのA・T。


「確かに。私はあの調律好きじゃない」
「来たみたいよ」


漸くやって来た男子達を七海の鉄拳で出迎えた。
七海曰く遅れた罰。
流石、男子には容赦無い。


「そもそもチームじゃない私達が来た事に感謝しなさい。もうあんた達と約束はしないわ」


全く持ってその通りだ。呼んどいて遅れるって人として最悪。


「あれ、女の子は?」
「こっそり抜け出すのに手間取ってんじゃね?ま、とにかく先に入ってようぜ」


南が先頭切って校門を楽々飛び越えた。それに続いてみんなも飛び越える。


「窓の鍵開いてっからヨ」


南が指をさす。その先を辿れば、窓は三階。A・Tで入れと言うことだ。


「勝手にしたら?私達玄関から行くわ」


ちゃり。
七海が見せてくれたのは生徒玄関の鍵。
それを見て美鞍達は尊敬の眼差し。
南だけは拗ねていた。


「職員室なんて呼び出ししかされたことねぇし」
「窓から入るには壁使うつもりだったでしょ?傷つくじゃないの馬鹿」


ストレートな七海の言葉に、南はさらに落ち込む。


「あ、ホラ。後から女の子達も来るんでしょ?A・T無いからさー、玄関のが入り易いし」


南をフォローしている間に七海達は入ってった。


「ホラ行こうよ南」


南の手を引っ張ると、A・Tのおかげでガラガラと進む。
体育座りの格好のまま生徒玄関前まで到着。
だが、三段の階段のせいでこれ以上引っ張れない。
めんどくさいなコイツ。
お前は駄々っ子か。


「そういやみょうじだけは南って呼ぶよな」
「七海なんて名前すら呼ばないもんね」
「イッキでいんだぜ?」


これ以上仲良くしたくないのでその提案は却下しよう。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -