「お前激しく地面に叩き付けられて崖の下まで落ちていったんだと。それをこいつが引っ張りあげたらしい」
「……」
「おい」
「…?」


話はきちんと聞いてきたのだがこの男は返事が返って来ないと不安なのだろうか。
というか崖から落ちたの、あたし。
それでよく無事だったなと自分の身体をまじまじと観察していたらロン毛があたしをじろじろと見ていた。
失礼な奴だとあたしもじろじろ見返してやればパッと目を反らした。


「お前に与えられた選択肢はふたつだ」


@此処で暮らす。
A何処か遠い街に行く。


そう言ってロン毛はあたしと少し距離をとった。
見えない選択肢B死ぬ。を選びたい。
それは駄目なのだろうかと目で訴えて見るがロン毛は横を向いていて、赤毛のがこっちをジッと見ている。
しっかりと目を合わせていたらにっこりと微笑まれた。
違うよ違うよ見つめあいたいわけじゃないよ。
助けて、というか殺して。
それが私にとっての救済なの。
言っていたじゃない、この物語の主人公が。
あわれなあくまにはたましいのきゅうさいを。

偽善にしか聞こえないその台詞を、彼は言ってのけたのよ。


「に」


殆ど音は出してない気がする。
それでも二人は察してくれて、わかったと頷いた。
赤毛の方は何だか喚いていたようだけど、ロン毛が宥めていたので気にしない事にした。
そして二人の会話が続くのを見ていたらロン毛が空腹かどうか聞いてきた。
返事をする前にあたしは赤毛に腕を引っ張られ部屋を出た。

ロン毛が後ろで何か言ったが相変わらず聞き取れなかった。

ぺたぺたという足音を立てて歩いていると赤毛が振り向いておんぶの姿勢をとった。
要らないという意味を込めて首を振れば無理矢理横抱きされた。
なんと横暴な!と思ったが、面倒くさいので好きにしたらいいと抵抗はしなかった。


連れていかれたのは大きな食堂。
お腹空いてないのだが、どうしたら良いのだろうか。
早くここから出たいのに、引き止めないでほしい。
未練ができたらどうしよう、とか、たった数時間でそれはないか。







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