昼食は確かに豪華になったが、朝食と夕食は今までと変わりはない。
つまり、一食は未だにりんご半分のままと言うこと。
自炊しなければならない立場にいるのに、料理は面倒だからしないでいたらいつの間にかりんご半分で満足する胃になってしまった。
季節にとって美味しい美味しくない、高い安いといったものがあるがなるべく美味しいものを選ぶポイントもわかってきたから味に関しては毎日美味しい。

朝食のりんごをしゃりしゃり言わせながら朝のニュースを見ていると携帯が鳴った。

「こんな朝から誰だー?」

充電器と繋がりっぱなしの携帯を手に取り、充電器を抜いた。
まだ鳴り続けている画面を見ると、「ピンクマン」とあった。

「げっ、しかも電話」

すぐ通話ボタンを押して耳にあてると「おっはようございます、日和さん」と朝から聞かなくてもいいはずの声が聞こえた。
手に持っていたリンゴを置いた。
このままではしなしなの黄色になるまで放置かもしれない。
それを避けるためにはこの通話をいかに早く終わらせるかにかかっている。

「朝から何の用ですか理事長。朝から」
「おやおやぁ?もしかして大事なトコロですか」
「ええ、まあ。というか理事長が仰ると何だか卑猥ですね」
「どうせ朝食もまだなのでしょう。食べ終わったら私の元までくること。いいですね?」
「……なるべくすぐ行きます」

携帯を耳から離して反対側の手でりんごを口に持ってくる。シャリシャリシャリシャリ。みずみずしさは少しなくなっていた。

もう少しして、今より涼しい季節がやってきたら梨にしようとなんとなく思った。





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