「メフィスト氏よ」

大事な話をしたいのに茶化して呼びかけてしまった。
失敗した。
変に思われたら、もっと話をしにくくなるのに。

「なんですかななまえ氏」

メフィストさんはのってくれた。
何も考えていない条件反射なのか、私に気を使ってのってくれたのか。
それはわからないけど、彼がのってくれた以上、私も続けるしかない。

「奥村雪男氏には、例のアレ、打ち明けましたぞ」

…、緊張する。
理事長からの返事が早くほしい。

「……良いのですかな?」

理事長の顔をこっそり見ると、優しい笑顔でこちらを見ていた。
盗み見たはずなのに目があう。

「まあ、雪男は大事な友人だからね。良いかな、って思って」
「それで、何かあったのか?」

緊張した報告も案外あっさりしたものだった。

「メフィストさんの事、よく思ってないかんじだったから」
「確かに、彼が絶対の信頼を私に寄せているかと言うと答えはNOです」
「私は勿論そうさ100%ゆ、信頼ですよ」
「それが事実かは解りませんがありがとうございます」
「どういたしまして」

本気なんだけど、信じて貰えなかった。
私はメフィストさんが来いと言ったなら、ついていくし、残れと言われたら留守番してるし。
たまに、外出してチョコパフェ食べたりしてるけど。
ああ、こういう所か。

でも私、メフィストさんが人を殺せって言ったら……、どうしよう。
簡単に人を殺したりするくらい狂って無いし、私はメフィストさんのあやつり人形でもない。
そこはちゃんと区別して判断するつもりだ。
メフィストさんが大切な人だからといって、彼の言うことをそのまま咀嚼し、飲み込むわけにはいかない。
三流ドラマのような陳腐な結末にはしてやらない。

「それとなまえさん、チョコパフェを食べに行くときはテイクアウトしてきなさい」
「な、なぜそれを…!」

このピンクマンめ!
ていうかチョコパフェのテイクアウトとか普通に考えて無理だろうよ。






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