今日のランチのメニューは何だろうか。
お弁当を貰った瞬間からどきどきで、お昼休みが待ちきれない。
中身は聞かないことにしている。
それを含め楽しみにとっておきたいし、なによりサプライズ感が大事だと思うからだ。

お昼休みになってからお弁当とマイ水筒を持って食堂へと急ぐ。お弁当が寄らない程度に急ぐ。
特別に約束をしている訳ではないが、行ったら行ったで迎え入れてくれる…はず。

「燐ー、奥村ー」
「お、なまえっ。隣とっといたぜ」
「ありがとーう!」
「そんなに急がなくてもちゃんと待ってるのに」
「だって、待たせるのは悪いと思って」

ほらね。

奥村燐と奥村雪男は二卵性双生児だ。
つまり双子。
でも二卵性だから年が同じ兄弟ととらえた方がわかりやすい。
双子だから似てる、全部同じ、という考え方は好きではない。

二人の着眼点も違う。
例えば私の席をとっておいてくれた燐の優しさと、急いで来なくても待っててくれると言った奥村の優しさ。

「いただきます」

燐の隣に座り、楽しみに楽しみにとっておいたお弁当の蓋をとる。私の好きなおかずがあって思わずニヤついた。

「ありがとう燐んんん!」
「いーってことよ!」

燐と奥村は私が蓋を開けるまで自分たちのは開けない。私に一番の権利をくれるのもこの二人の優しさだ。

今までとは比べ物にならないくらい幸せなランチタイムだ。

「食べるか!」
「うん!」

二人の優しさと比例するように、隠し事をしている罪悪感も積もっていくのは、今はまだ見ないフリをしよう。





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