「では、なまえさん?」
わざとらしい声で言い、理事長は立ち上がった。
「…はい」
「そろそろ止めに行ってください」
「血、使ってもいいですか?」
「死なない程度にならどうぞ」
理事長に言われてから、私は絡み合ってる二体の悪魔の元へ向かった。
燐は理性を無くして本能的に行動しているのだろう、目がイってる。
これは穏便には済ませないだろうと判断した私は、両手のひらを切って血を流した。
私の血は悪魔には毒だ。
これも体質的なもので、量によって左右はされるが、悪魔からしたら麻痺や痺れなどといった症状が出るらしい。
量によっては死に至る。
「もう止めにしま、せん、かっ」
「邪魔です!」
「そんなこと言われ、て、もっ!」
両腕を掴んでから、二体の悪魔の動きを止めた。苦しそうに顔を歪める。
燐に蹴られそうになり、アマイモンさんに反対側の手で殴られそうになるが、アマイモンさんだけ理事長の方にぶん投げた。
「ナイススロー!」
「言ってる場合かっ」
理事長はアマイモンさんを綺麗にキャッチした。
そしてそこから兄弟喧嘩らしきものに発展した悪魔は無視をして、私は完全に意識を飛ばしている燐の顔に反対側の手を押し付けて強引に血を飲ませた。