下が騒がしくなったと思ってベヒモスから目を離してそちらを見ると、全員そろったようだ。
一段落して、彼らから油断した空気がこちらまで伝わってくる。

次の瞬間アマイモンさんが私の横をすり抜けてった。
続いてベヒモスも。

「あ」

アマイモンさんは落下音らしき擬音を口にしながら落ちていく。
ベヒモスも私から離れるほどに本来の凶悪さを取り戻していった。

「アマイモンさん行っちゃいましたけど…っていつの間に紅茶用意してるんですか」

理事長はティータイムの時間だと言わんばかりに、椅子とティーポットとお菓子を用意して寛いでいた。
このセットを今日から優雅なティータイムセットと呼ぼう。

「なまえさんも飲みますか?」
「…お腹空いてないのでいいです」

理事長から目を離してまた下の様子を見ると、アマイモンさんがぐるぐると飛んできた。
ピンポイントで私のいる位置に来たので、受け止めようかと悩んだけど退くだけにした。
少し遅れてベヒモスも飛んでくる。

理事長は声に出して今の出来事を笑う。

手すりにいるこうもり傘もニヤニヤした笑顔を浮かべている。
このこうもり傘に命があるのかはわからないけど、ペットは飼い主に似るんだな、と思った。
ああ、でもベヒモスはアマイモンさんに似ていないからそうでもないのか。

「優雅に茶を楽しみながら観覧しようかと思っていたか、そうもいかないようだな」
「結界張られましたしね」
「これは手強いぞどうするんだアマイモン」
「ウーン、殺したい」

物騒な言葉が聞こえた。
駄目でしょうと言おうとしたが、私よりも理事長の方が早かった。

「ダメだ、一人でも殺してみろ。私がお前を殺すぞ」
「ハイ、スミマセン。ガマンします」
「そういう問題でも無い気がするんですけど」
「なまえ、お前は口出しするな」
「ハイ、スミマセン。自重します」

理事長に怒られてしまった。
その間にアマイモンさんは立ち上がり、また下に降りていった。





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