アマイモンさんと理事長が一緒になってゲームをし出した。
理事長ゲームを置いている部屋には大画面のテレビがある。
ああいや、大画面通り越してもはやシアタールームみたいになっている。
さすがセレブ、と言ったところだ。
そんなところでゲームを始める二人を見ながら、私は私で課題と格闘していた。
学生の本分は勉学だ。
とは言っても、高校生なんて遊びたい盛り。しかしそれに伴うお金が無い。
なのでこうして部屋の中にこもる。
学生の敵である金欠なんて悩み、理事長はこれっぽっちも知らないんだろうなと考えると、少しイラッとした。
にしても先ほどから見る専を貫き通してるアマイモンさんは楽しんでいるのだろうか。
この人の表情はほとんど変わらないので感情が読み取れない。
「アマイモンさんはゲーム好きなんですか?」
「よくわかりませんが、ボクは実際に闘いたいです。なまえさんは闘ってくれますか?」
「課題が今日中に終われば手合わせくらいなら大丈夫ですけどね、全然わからんのですよ。アマイモンさんわかります?」
「ボクにそんなものは必要ありません」
つまりわからない、と。
「ですよねえ。悪魔ですもんね」
悪魔には知恵はあるだろうが知識は必要ないんだろう。
下級悪魔は本能的にしか動かないだろうし、自分で考えて行動するような悪魔なんてそうそういないはずだ。
あれ?
「今更ですけど、アマイモンさんって…地の王?」
ずうっと聞き覚えのある名前だとは思っていたけど、まさか地の王だったなんて。
塾に通ったりしていないので、悪魔の種類や名前なんてのは殆ど覚えてない。
しかしいくらなんでも地の王アマイモンの名前さえも覚えていないなんて…!
一般人としては正解だけど私の立場からでは微妙に良くないことだ。
「ハイ。闘ってくれますか?」
「いや、ですから課題が終わりそうもないので勘弁してください。それに地の王とか、ちょっと私には手に負えないです」
「アマイモン、今日はアレの日だ。わざわざそれを相手にしなくともお楽しみと闘れるぞ」
理事長がそうフォローしてくれたので、私と闘る羽目にはならなかったようだ。
にしても人をそれ扱いってこの悪魔め。
ん?
「…ちょ、ちょっと待った!見張らせといてなに今の戦闘フラグ!」
「なまえさんは必死で被害を最小限に抑える役です。私は優雅にお茶を楽しむ役ですが」
「私は便利屋か何かなの?」
「大丈夫、夜から明け方にかけてですから」
「関係なくないですか」
確かに私は日中は弱い。
でもだからといって、悪魔のように夜になれば格段に強くなるというわけでは無いのに。
理事長は一体何がしたいのか、そして何をさせたいのか。
それはきっと、今夜何かが起こる事で、少しだけわかるのだろうか。
「ということで貴女は課題を頑張ってくださいね」
提出期限、守らなくて良いだろうか…。