「なあ、からくさ。また俺を乗せて飛んでくれよ。」
「…おまえはいつもそれだな、まあ構わないが。」


ある晴れた日。空を見上げたらあまりにも綺麗だったから俺はいつも通りからくさに頼んで背中に乗せてもらって空を飛ぶ。
それがこちらの世界へ来たときのプランだ。
勿論自分も飛べるのは飛べるのだがどうしてもその時の自分自身の姿が好きになれなかった。そんなことをからくさに素直に伝えたら「それなら仕方がない。」と苦笑混じりに承諾してくれて、俺はこうしていつも良い時間を過ごすことが出来ている。
夢のような時間なのだ。何気ない話しをし、からくさの仲間とも交流をして、これが『ヘイワ』なのだと思う。よく蘇芳や千草からも聞いたことがあったがあまり想像出来なかった。


「なら、俺の願いも聞いてくれるか?」


からくさの言葉に徠伽は不思議そうに顔をそちらに向けた。今まで一度もそんなことを言われたことがなかったからだ。
こちらから頼むことは数え切れない程有るがからくさから頼み事をしてくることはなかった。たが、自分に何が出来るだろうか。自分にあるのは戦闘の知識だけだし、ヒトとしての知識はからくさの方がずっと持っているはずだ。


「俺をおまえの世界に連れていってもらえないだろうか?」


その願いは思いがけないモノだった。
思わず俺は瞬きを何度も繰り返す。


「いつもおまえがこちらに来てばかりだからな。」
「いや、しかし俺の世界は…。」
「分かっている。危険なのだろう?」


問題は無い、とからくさは頬を緩ませた。確かにからくさならば安心して案内することも出来るが、それでも気は進まなかった。


「駄目だ。」


どうしてもこのもやもやした気持ちの理由が分かず、短い拒絶の言葉しか出て来なかった。


「今は、駄目だ。」
「今は?」
「ああ。今は、もっとヘイワになって、空が、見えるようにならないと。」


そうか、俺はからくさにヘイワな俺達の世界を見て欲しかったんだ。
からくさ達の世界に負けないくらいヘイワな世界を。


「だから、ヘイワになったら…呼ぶよ。」
「では約束だな。」


それはいつになるかは分からないけれど、きっとヘイワな世界になるはずだ。俺達にはまだ、時間があるのだから。



「ああ、約束だ。」















約束をしよう。
(いつか、二人で空を飛べるように。)










―――――――――
セロさんへ!
からくさ君と徠伽のコラボ企画です、参加有難うございました´´
私のイメージですとからくさ君は徠伽の兄的存在に近いお友達な関係かなあ、と思いこんな感じになりました。大変長らくお待たせしたのにこんな文で申し訳ありませんorz
これからも、よろしくお願いします!


Micro

.
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -