俺の言葉に少しは安堵したのか、彼はまたぎこちなく頷いた。
ゆっくりと腹側を亀頭で押し上げて女性の性感帯を刺激し、再度絶頂感へと導いていく。
「は、はぁん、あ、ああっ」
嬌声は陶酔感すら見えるような、甘えたもの。
「は、や、また……くる、くるの……っ……!」
先よりも痙攣は大きい。もう抑え込む事は出来ないだろう。
「……良いよ、イって、シュラ……ッ……」
最高の絶頂を引き出したくて、叩き付けるように肉筒を抉った。
途端、シュラの身体が大きく弓なりに反り、がくがくと派手に震える。
「……っ…!」
悲鳴の形に大きく開かれた唇からは何の声も発せられなかった。ただ、喉がひゅ、と鳴っただけ。
肉筒が急激に狭まり、激しく蠢いたと思った瞬間、彼の幼気な陰唇、その尿道口の辺りから、透明な体液が勢い良く吹き出した。
腹に当たった潮は酷く熱かった。


■ ■ ■ ■ ■


酩酊したような無防備な表情を見せた彼は、そのまま意識を失ってしまった。
彼に気を向け過ぎて共の絶頂は逃してしまったけれど、彼の上気した白い肌に自慰で白濁を引っ掛けるのも悪くはなくて、意識を失っているのを良い事に乳房に精液を浴びせた。
勿論、彼が目覚めたら罵られ兼ねないから、直ぐにタオルで清めておいたけれど。
身支度を整えて、シュラをベッドに運んで横たえ、侍従を待った。
流石、磨羯宮の侍従は主人同様、献身的で仕事も早く、程なくして女物の衣類と女聖闘士の使う銀仮面は届いた。
シュラの寝顔を見ては、その使いの品を検分する。
下着は取り敢えず五着、全て俺の趣味で頼んだ。白かパステルカラーで上品なレースが基調。
女の雑兵用の胸当て、それの下は白のレオタードだ。黒も用意したが、やはりシュラには白が似合う。
ニーハイソックスも無論白と黒。
室内で着られるように胸元の大きく開いたドレスもある。
――後はシュラに着て貰うだけ。
胸が高まるのだから、やはり俺は不謹慎なのだろう。
彼が目覚めるのが待ち遠しくて落ち着きなく脚をぶらぶらとさせていたら、思わぬ訪問者の報せが届いた。
「シュラはまだ休んでいるぞ」
そう侍従に返したが、不遜な訪問者は返答を無視し、止める侍従を振り切ってシュラの居室になっている奥の間まで立ち入ってきた。
「おい、シュラは大丈夫か」
開口一番挨拶もない。それでこの訪問者が名乗った名前とは違う、弟の方だと確信した。
「何の話だ、カノンよ。シュラはまだ寝ていると伝えただろう」
寝室には意地で通す訳にはいかない。
仁王立ちで威嚇すると、カノンは相変わらずの身勝手さで応接用のテーブルに酒瓶を置きながら悠々とソファに腰を下ろした。
「叩き起こす事は出来ないのか?」
「ああ、シュラは寝汚いからな」
「ふむ、そうか。会わせたくないのだな?」
「……そうとは言ってないが?」
一瞬返答に窮したのは失態だった。出来る限りの平常心で接しなければならぬ相手だったのだが。
「実はな」
カノンは横目でちらりと俺を見遣った。
「昨日ある実験をしたのだ」
「……は?実験?」
「モルモットはまあ誰でも良かったので、取り敢えずアイオロスとシュラとデスマスクとアフロディーテを選んだ」
何やら嫌な予感を覚えてならない。
「恐らく酒好きで酒豪のシュラから実験結果が出るのではないかと思って確認に来た次第だ」
「……貴様、まさか」
嫌な予感程的中するもの。しかし。
「元に戻す事は出来る。簡単だ。だが、それを教えてしまっては詰まらんだろうから、まあ……楽しむ事だな、アイオリア」
カノンはゆるりと口角を釣り上げ、俺の内情に潜む欲を見透かしたような目をした。
「因みにこの酒にも同じ成分が入っている。無事に戻って刺激が欲しくなったらこれをまた飲ませると良い」
後ろめたさの余り堪らず声を荒げてしまう。
「き、貴様、同胞をそんな遊び道具に使う等言語道だ…」
「アイオリア」
カノンは双眸を三日月型に細めて実に楽しげに笑った。
「俺に、礼は?」
ぐうの音も出ないとは、正にこの事だった。



END



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