「お尻、ぐちょぐちょされたい?」
ゆっくりと身を屈め、蠢動を繰り返している彼の後孔に性器の切っ先を宛がった。
まだ挿入はしない。もっといやらしい言葉を引き出したい。
「ふ、く……ぅ……」
シュラの左手が竿を緩く掴み懸命に体内に誘うけれど、そう簡単に飴玉をあげていたら、いつまでも彼は被害者面をして自身の淫性を隠そうとする。
もう判りきっているのに開き直れないのは、彼らしいと言えば彼らしいが、追い詰めて貶めた方が、彼自身の悦楽が深くなるのを俺は知っていた。
「シュラ、素直に言わないとお預けだぞ」
切っ先を逸らして陰唇の割れ目を辿ると慌てたように腰を捩るのが、何とも滑稽だった。
「いや……やだ、アイオリア……」
「何が、嫌?」
禁欲的だと評される彼の実際はこんなにも淫らだ。
目尻に涙を浮かべて俺を見上げてくる。
とうとう頑丈な唇が開いて。
「……ぐちょぐちょ、して……俺の中、大きい…おちんちんで、擦って。いっぱい、欲しい……っ……アイオリアのおちんちん欲しいっ……」
告げた途端に大粒の涙が零れ落ちた。ぽろぽろと零れ落ちる雫は、欲望と恥辱の狭間で彼が苦しんでいる証拠。
自分でも呆れる程、何度も彼に惚れ直してしまう。
可愛くて、綺麗で、誰にも見せたくない。いっそ閉じ込めてしまいたい。
強い独占欲は支配欲と同じだ。
いつか、彼を食い殺してしまうのではないかと思う程の、奥深く湧き上がる欲情。
「良い子だな、シュラ」
いつも子供扱いされるのは俺だけれど、身体を重ねる時の上位は俺だ。
隷属に慣れた彼はそれすらも悦びにして、涙に濡れた瞳を俺に向けた。
唇を軽く触れ合わせる口付けを施して、小さな後孔に先端を潜り込ませる。
肉こそ柔らかいが、彼の中は窮屈で、それは男の身体と変わらないのだと思うと少し嬉しくなった。
「あ、あぁ……っ…」
少しずつ肉筒を割り開いていくと、彼は控え目な喘ぎを漏らして、俺の肩に爪を立てた。
「シュラの大好きなおちんちん、美味しい?」
唇に囁くと熱い吐息が返った。
「お、き、い……っ……かたい、凄く……はぁ、ん」
蕩けた微かな返答は彼の理性が飛び掛けているせいに違いなかった。
普通の彼の男声より高い女の甘い声で鳴かれると、まだ幼かった頃の彼を犯しているような気分になる。
雁首まで埋め込むと、それだけで彼は背筋を反らして戦慄いた。
「シュラ、まんこ、丸見えだって気付いてるか?」
眼下、性器を咥え込む後孔と、涎を垂らすかのように愛液を染み出す幼気な陰唇、正に絶景だ。
「や、やら……見るな……っ…」
呂律が怪しくなる程に感じ切っているのだから、彼は見られる事にすら興奮を強めているらしい。
「あ、ひぃ!」
女性器を隠そうとした彼の手を妨害するべく、一気に根本まで後孔を貫いた。
「ふぁ、は、ひあ……」
挿入の衝撃は性感を強く刺激したようで、彼の端正で凛々しい顔が見る影もない程だらしなく蕩けて口端から唾液が零れる。
薄く開いた唇から覗く赤い舌先は細かに震えていた。
「シュラの処女まんこ、もっと見せて」
返事を待たずに陰唇に両の指を掛けて割り開くと、淡い桃色の膣口が露になった。
陰核の色も淡いが、包皮から覗く先端が尖って上向いている。
尿道口までぱくぱくと収縮を繰り返していて、今まで見た女のどの陰部よりもいやらしかった。
「や、やぁ!見るな、見ないで…っ…ひ、やぁん!」
彼がそこを隠そうとする度に腹側に向けて突き上げる。
開いた膣口、どろどろに濡れた肉の壁が盛り上がるのが見えて、余計に卑猥だった。
「シュラのまんこ、襞が凄いな。カズノコ天井?」
彼の女の中をもっと観察しておきたくて、性器を支点にして彼の尻を上向かせる。畢竟身体は折り畳まれるような姿勢になり、女性器に良く室内光が当たるようになった。
「やだ、やだ、アイオリア…っ…!見ないで、頼むから……ん、あぁんっ!」
更に大きく膣口を割り開くと、細やかな襞が幾重にも連なる膣内に光が入る。
愛液は粘度を増しているようで、収縮をする桃色の肉壁にきらきらと糸を引いていた。
後孔のうねりが激しさを増して、堪らず下腹に力を込めてせり上がる解放欲求を堪える。
「……は、可愛いピンク色。……あ、俺、処女抱いた事ないんだよな」
最後ぽつりと呟いたのは独り言のつもりだったが、シュラが大きく首を振った。
「や、やら……っ……アイオリア……お願い……こわい……っ…」
細い肩が小刻みに震えていた。
「……こわ、い……!」
まさかシュラから「怖い」等という言葉を聞くと思わず、目を瞬いてしまう。
数秒くらい呆けていたのかもしれない。
「……ああ…」
――そんな事にも気を遣れないだなんて、全く男の風上にも置けない。
確かにシュラは抱かれる事に慣れているけれど、それはあくまで男の身体の話。
今の彼は女で、女性器に男を受け入れた事のない処女なのだ。
挑発の意味で何気なく口にしてしまったけれど、処女ならば性交に戸惑いや恐れがあるのは当然。
男の俺が童貞を捨てた時でさえ、快感の期待が半分、上手く出来るかの不安が半分だった。
もう少し体内を検分したいけれど、彼を怖がらせるのは本意ではないし、見ていたら、きっと彼の処女を奪いたくなってしまう。
膣口から指を離すとぬるりとした愛液が銀糸を作った。
「……う、く……アイオリア……」
小さな嗚咽と共に白い腕が俺を引き寄せる。
「ごめん、シュラ。怖かったな、ごめん」
頼りない細い身体を抱き締めると、彼も強くしがみついてきた。
俺の肩口に目許を押し付けて、まだ少し嗚咽混じりに「馬鹿」と言われる。
可愛い、そう改めて思った。
不幸な呪い、決して喜んではいけない事だけれど、きっと初めて男に抱かれた時、シュラは本当に怖かったのだろう。
その感情を俺は少し、垣間見る事が出来たのかもしれなかった。
不謹慎ではあるが、それが純粋に嬉しくて、切ない。
「……優しくするから、な?」
硬く張りのある黒髪を撫でて額に口付けると、彼が顔を上げてくれた。
「……ばか……」
涙に濡れて緑掛かる瞳。
微かに笑ってくれたように見えた。
「好きだよ、シュラ、大好き」
ゆっくり、慎重に腰を引いて進めるのを再開する。
「ふ、ぁ、はあっ……んんっ」
幾ら後孔でのセックスとは言え、女の身体、女の快感で性交するのもきっと恐怖が強かっただろうに、シュラは俺を受け入れてくれた。
言葉と同じくらい鮮明な愛情表現に他ならない。そう傲っても、きっと良い。
彼が俺を許してくれているのだから、これ以上彼を怖がらせないように、丁寧に性感を高めたかった。
「シュラ、大好き」
何度伝えてきたか、もう自分でも判らないけれど、俺の想いはまだ多分伝えきれていない。
きっとこんなに愛して、嫉妬して、苦しんで、時に怒って、笑って、泣きたくなるような恋はこれきり。
俺がシュラ以外の誰かに恋慕する日は永遠に来ないのだと思う。
「あ、あぁ、アイ……オ…リア……はあっ、んん!」
出来ればシュラも同じ気持ちでいて欲しいけれど、それを望むのは未だ早いような気もした。
「も、や……は、変……おかしい、からだ」
彼の身体が細かに震え始める。
絶頂が近いのは肉筒の締まりからも蠕動からも明らかだった。
「……イって良いよ」
腹側に向けて突き上げると、手足を強張らせて彼は絶頂を意地で堪えてしまったようで。
「ちが、あ……お、おしっこ、出そう、な……感じ、で……っ……」
女性の身体の絶頂感と放尿感を区別出来ていないようで、思わず眦が緩んだ。
「おしっこじゃない、大丈夫」
俺に自慰と性交の方法を説明してくれた彼に、俺が教える日が来るなんて思ってもみなかった。これも嬉しいハプニングだ。
「潮、吹きそうなのかもな。下半身力入れて、少し腰突き出して、足の指ピンと伸ばして……そう」
女性が一番絶頂感を強く得やすい体勢を作らせる。
彼は全身を戦慄かせながら小さく何度か頷き返して指示に従った。
「さっきみたいな感覚が来たら我慢しないで。何か出そうになってもおしっこじゃないから出して平気、恥ずかしくない、普通だよ」



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