眼前でたくし上げられていく薄桃の衣と透き通るような白い大腿から反射的に顔を背けると、勃起した性器を容赦無く平手に打たれた。
「……ッ…!」
急所に走る痛みに喉を突き掛けた悲鳴を寸前で堪えた。衝撃に跳ねた腰を労るかのように掌が撫で、布の隙間から内股に滑り落ちてくる。
瞼で視界を塞いで女の大腿を掴み体を捩りながら股を閉じようとしたが、再度、先よりも強く亀頭を叩かれ、不覚にも眦に涙が滲んだ。打たれた部位が遅れて熱を持ち始める。
「……可愛いおちんちんね。叩かれても嬉しそうに涎を垂らしてるわ」
痛みを感じて尚、浅ましい性器は先走りを零しているらしく、その雫の跡を知らしめるかのように細い指先が直接裏筋を辿り上げた。
「……っ…う、ァ…」
指に先端を割られ尿道口を完全に露出させられる。じんじんと疼いて熱を孕むそこには外気の冷たさも十分過ぎる刺激で、また先走りが漏れるのを自覚した。
「凄いお汁、お漏らししてるみたい。お尻にまで垂れて来てるわよ」
裏筋を伝った体液は陰嚢の付け根で割れて伝い落ち、会陰も後孔も濡らし始めていた。
浅ましい身体が惨めで、強く唇を噛み締めるが、そんな俺に仮象者は少しの憐憫も見せず、体液の流れに添って指先を伝い落としていく。
「……やめ…ろ、やめ…っ…」
閉じた内股を呆気無く割られ、露出する後孔に女の指が這い出す。縁に指先を引っ掛けてくるりと回し、先走りを後孔に塗り付けられた。中指が小さな排泄器官を狙い浅く潜り込んでくる。
「……ひ…っ…嫌だ、や…ッ…」
くちゅ、と響いた音は縁を濡らされた後孔が引き絞られたせい。それで女の、綺麗に整えられた爪の固さと指先の優雅な流線型を体感する。
「私の指ならもう上手におしゃぶり出来るのよね」
ずぶずぶと遠慮無しに埋まってくる指に否応無しに下肢が震えてしまった。呼吸がみっともなく浅くなる。それこそ犬のように。
根本まで一度埋まった指は俺に擬似的排泄感を齎しながらゆっくりと抜けていく。辛くて冷汗が出るが、それ以上に内壁に齎される摩擦は、俺が此処に捕えられるまで想像した事すらなかった性感を与えてきた。
「…ッ…ん、んぅ…」
まるで性交を模しているかの如く、女の指の抜き差しが徐々に速くなっていく。
尻の中を弄られるなんて屈辱でしかなかった筈なのに、俺は確かにこの行為に快感を得るようになってきてしまっていた。
排泄感と圧迫感、疼痛がない混ぜになって頭の芯を痺れさせてくる。
「可愛い……ひくひくしてるわ。私の指に肉を絡ませて……ああ、捲れちゃった」
俺の身体の浅ましさは俺が一番判っていた。
粘液に塗れた指が突き立って性器が震え先走りを大量に吹き上げた事も、小刻みに擦られる肉筒が喜悦露わに蠢いて女の指をしっかり咥え込んでいる事も。
仮象者は言葉通り、俺の後孔を、雄を受け入れる為の、柔らかに蕩けて濡れる雌の穴に変えるのだろう。
そうすれば、男神との性交に俺が苦しみ痛む事も少ない。
与えられるのは理性の度を越した、快感と恥辱、絶望、だ。
「……ッ…は、ぁ、あ…」
途切れ途切れに漏らした吐息に甘えたような微かな喘ぎが混じってしまう。どんなに喉奥を詰めても、女の齎す愛撫は優し過ぎた。
「気持ち良くなっちゃったの?可愛い子ね」
耳障りである筈の笑い声さえ遠くなる。
突き立った指が増えて摩擦の力が強くなると、もう何処に力を入れているのかすら自覚出来なくなった。
体内を擦られる悦楽は余りに強烈だ。性器を嬲られるダイレクトな快感とは異なり、内側から焦がされていくような、自分の意志ではどうしようもない、強制的な快感。
「聖闘士さん、お尻をぐちょぐちょのおまんこにされたいみたいね」
「……ッ…違…っ…ぁ…!」
苛烈な快感を齎す箇所、前立腺を強く引っ掻かれ、腰が派手に跳ねた。陰嚢が張り詰め、射精感が急激にせり上がる。
「駄目よ、勝手にイっちゃ」
みっともなく脈動を繰り返している性器の根本を五指に握り込まれ、痛みと苦しさに全身が震えた。
――達したい。
そう思ってしまった事が惨めで新たな涙が滲む。
「犬になりなさいと言ったでしょう?ちゃんとぺろぺろしないとずっとこのままよ。イケロスの大きなおちんちんでイきたいのなら構わないけど」
三本の指が突き刺さった後孔は仮象者の脅しに却って嬉しそうに蠢動する。
男神の性器を突き立てられて達してしまうのだけは、どうしても避けたかった。それがどれだけの悦楽を齎し、絶望させるかを、俺は身をもって知っていた。
拒絶していた双眸を薄らと開けば涙に歪む視界に白い内股が見えた。仄甘い芳香、それを手繰る。
核心を視界に捉える前に再び瞼を閉じてしまったのは、罪悪感故だったのかもしれない。
唇に柔らかな肉が押し当てられた。
ゆっくりと秘肉の圧迫が強まり、濡れた粘膜が唇に触れる。甘酸っぱい芳香が強まった。
胸の内に渦巻く荒れた感情を漸くの思いで押さえ付け、唇を開き舌を差し伸ばした。
舌に伝い落ちる粘度のある女の蜜は微かな塩気を伴っていた。ひくりと蠢いた肉壷の口に唇を宛がい、溢れてくる蜜を吸い出す。
「それじゃ駄目」
「……ッ…く…ぅ…!」
ぐり、と前立腺を刔られ、再び絶頂感に襲われ掛けるが、根本を戒められているせいで、精液は内部で暴れるだけ、放出は叶わない。
浅ましく震える舌を差し出したまま、俺は女の陰部を舐め辿る。以前強制された通りに、小さな尿道口を擽り、固くしこった陰核を吸う。
「……下手ねぇ。もっと強く吸って……この位に」
不意打ちに亀頭に吸い付かれた。絶頂を塞き止められ、割れ目を吸いながら尿道口を舌先に掘られては堪ったものではない。
「あぁ、うッ!」
「ほら、またお口がお留守」
「ひッ……はぁあ…!あ、ぁん…っ…!」
ずぼ、ずぼ、と容赦ない摩擦音と共に後孔の指まで抜き差しされて、いよいよ喘ぎを押し殺せなくなった。
気持ち良い、等と単純に思えるものではない。体内から溶けてしまうような熱が沸き起こり、脳が爆ぜたように眩暈が起きる。
「ああ、聖闘士さんのお尻、おまんこになってきちゃったわ」
指に絡み付いて必死に咥え込む肉襞。それは確かに雄を求めているように見えたのかもしれなかった。
意志だけではどうにもならない身体が恨めしい。
達したくて、肉を突き上げて欲しくて、意識が蕩けてくる。
必死に舌を這わせても、女に性器を吸われ叩かれる度に喘いで、尻を掻き回される度に跳ねて。
溢れ出した先走りで後孔は自発的に濡れたような有様になっていく。
唇も唾液で濡れているのか愛液で濡れているのか最早判らなかった。
仮象者の凌辱から逃れる為に懸命に舌を動かして肉壷を舐め回し、尿道口を吸い、陰核を唇に食む。鈴の付いた装飾の革紐で性器の根本と雁首の二カ所を括られた事にすら気付かなかった。
「ぺろぺろするの、本当に下手ね。不出来な犬にはお仕置きが必要かしら」
犬、と呼ばれても怒りさえ湧かなかった。ただ、この凌辱を早く終わらせて貰いたくて、これ以上の責め苦が恐ろしくて、俺は屈辱を感じる余裕も無く、必死に女の股に舌を差し伸ばしていた。
口内に溜まる唾液と愛液の入り交じった粘液を嚥下したその僅かな間に、仮象者は無慈悲にも腰を上げてしまう。



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