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(やっぱ探すならAからだよな……)
目前となったクラス表を見上げながら、鳩はそう思って視線は端に向ける――と。
「――あ」
左端の最前列、一番最初に目にした馴染みのある名に隣を振り返った。
「薺さん――薺さんの名前ありましたよ」
見つけたのは薺の名だ。
クラス毎に五十音順に並んでいるようで『浅霧』である薺の名は、Aクラスの先頭に記載されていた。
既に掴まれた腕は解放されているが、肩が触れそうなほど近くに立っている薺を見上げて呼びかける。
「ああ。お前等も同じAクラスだぜ」
「えっ! ――あ、ほんとだ」
言われて下に読み進めれば、二つ並んであった、鳩と結斗の名。
「凄い偶然ですね」
「…そうだな」
結斗と鳩が一緒なのは作為的ものだが(間崎の権力を用いた結果だ)、薺も一緒になるとは思っていなかった。
ただ右も左もわからない場所で、幼い頃からの友人と共に過ごせるのは心強い。
鳩は嬉しく思って薺に笑いかけた。
――と。
「――鳩! おせぇっつうのっ」
「でっ!?」
突然背後からかかったずしりとした重さに、鳩は前のめりに転けそうになり――だがよろめきながらも何とか耐えきった。