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 ここ、郁奈宮学園が創設されたのは今より数百年も前のこと。
 学園の名が通常の学校とは異なる特別な地として永く歴史に刻まれることとなったのには、とある特種な事情があった。
 その事情には、学園の敷地内の一部分にある――生徒は疎か教師でさえ足を踏み入れることの許されない秘匿された地が深く関わっている。
 『虹色の泉』――その地はそう呼ばれていた。
 そして『泉』と称されるほど、そこは膨大な量の『導力』に満ち溢れた場所だった。

 『導力』とは魔導を構築する上で、必ず必要な力のことだ。
 目には見えないが、空気中にも含まれ、そして人の体内にも蓄積されている。人は皆、その身にある『導力』を使って魔導を構築し、空気中に漂う『導力』を呼吸するのと同じように吸収して、再び蓄積するのだ。
 
 その源泉とも言える地が『虹色の泉』だった。
 そしてそれが、郁奈宮学園創設の根底となったものである。


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