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なにかと思って振り向けば、
「俺、寝るし。終わったら起こせよ」
と。
言いながら既に眠りにつこうとしている結斗に、鳩はいきなりかと呆れてしまった。
「ちょっ、先生に怒られるぞ」
「…………」
「ゆーいさーんっ」
勿論全部小声だ。普通に話せば鳩の方が注意を受けてしまうだろうから。
だがその所為で、結斗が夢の中へ旅立っていく邪魔もできなかったらしい。たった数秒ほどで、結斗はすやすやと寝息を立ててしまっていた。
寝汚い結斗は、一度熟睡すると張り倒すくらいの勢いで行かないと起きないのだ。こうなると最早ばれないことを祈るしかなかった。
品行方正に過ごさせると約束したのに――初日から撃沈。
凪斗さんすみません。
結斗を頼む、と送り出してくれた育ての親である彼を思い浮かべ、鳩はそう心の中で謝った。