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 と、果たして勝利を手にしたのは理々である。
 しばしの見つめ合いの末、彼は「勝手にしろよっ」という結斗の照れ隠しの承諾を得たらしい。
 理々は嬉しそうに微笑んで――今度は、鳩に目を向けた。

「あ、鳩さんにもお尋ねしたいんですが」
「ん、俺?」
「はい! 鳩さんの親衛隊、今度はどうされますか?」

 そしてだ。
 次は鳩が目を瞬かせる番だった。
 まさか自分にまでふられると思っていなかった内容に、鳩は不思議に思いつつも返答する。

「俺のは必要ないんじゃないか? 女生徒はいないんだし」

 区画学校に通っていた時、何の間違いか、鳩にも親衛隊を作るという話題が出たことがあった。理由は勿論、鳩のことを好ましく思ってくれた人がいたということである。ありがたいことに。
 常に目立つ結斗と共にいるため目に留まり易い所為か、呼び出しを受けたり手紙などで告白されることは何度かあった。
 ――だがそれ等は全て、女生徒がいたからこそだろう。
 共学だった区画学校と異なり、郁奈宮学園は男しかいない。
 美少女然とした結斗に親衛隊の話が持ち上がるのはわかるが(区画学校の親衛隊でも男の割合の方が断然多かった)、鳩には関係のない話の筈だった。



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