この国の統治は七つの一族によって行われている。
　その七つの一族――『王冠』と称される一族は各々国家最高クラスの秘術を有しており、それゆえ地位と権力、富と名声をも併せ持った存在だった。

　この国の領土は『王冠』の一族の数だけ分割される。
　そしてその、円を描くようにして分割された領土の中心部には――国家最大の学園、郁奈宮学園が位置していた。
　郁奈宮学園。それは各領土より齢十五の少年が集まり三年間修学に励む地だ。
　唯一領土に縛られることなく全域から入学可能なこの学園には、必然的に各領土を代表する優秀な者が集まる。
　そして――
　『王冠』の一族の男児は皆、郁奈宮学園に入学することが定められていた。