アスファルトに陽の光が反射して必然的に目が細められる。

夏の風物詩となりつつある蝉の合唱が
割れんばかりの音量で響き渡る。
指揮者を用意するべきだ、なんて事を考えながら
咥えていたアイスキャンディーの棒を遊ばせる。


流れ落ちる汗を手の甲で拭い、目の前の
彼に視線をやれば同じ様な動作をしていた様で、
ふと目が合った。

あっちぃな、って、声をかけられてもお決まりの
言葉しか思い浮かばず言葉のボギャブラリーの少なさに
少し、胸が痛んだ。

「おい、黄瀬」

俯いた顔を上げ、数cmしか変わらない彼の顔を
見上げるようとしても、太陽の光が反射して
表情を汲み取る事もままならないまま、目をほそめる。

「バスケすんぞ!」

そう言った彼の声色は嬉々としたものだったのが、
自分にも嬉しくて、駆け寄る様に応答する。

隣に並びやっと彼の顔が見れると思ったのに、眩しくて、
やっぱり自分には目を細める事しか出来なかった。


向日葵は光を求めるソレと
同じなのだろう。
君を見つめたくて、見上げたのに、
その景色はやっぱりとてもとても青かった。



(あの花も同じ様な景色を見ている事だろう。)



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