それは呼吸をするのと同じ位自然に身体の中へと取り込まれていった

淀みなく流暢に流れ、音もなく静かに溶け込んでゆく。
深く色づく瞳の奥にで捕らえられる自身の姿を見つけ
侵食されたと理解した時にはもう既に遅く、きみの存在は
自身にとって生きていく上で必要不可欠なものとなっていた

日を追う毎に深く深く侵食される。
何時だって君の声が聞きたくて不必要に声をかけては
きみを困らせ、時には怒らせた。
周りの奴等にはないその特別な感情の矛先が
自分である事に喜びを感じては一人優越感に浸る。

周りには愛想よく笑顔振りまいて、
心中では間逆な思考を働かせる。
きみに近づく奴には笑顔を崩さず威圧する。
きみの瞳には自分だけが映ればいいのだと、
名前を呼ぶ度に願っている、何て口が裂けてもいえない。

きみへの想いが芽吹くのと共に闇のなかへも支配されていく。
底が見えない闇の中に落ちていく自分を引き上げてくれるのは
他でもない唯一無二のきみだ。

きみの声が光となり、道しるべを照らしてくれる。
きみの言葉が道を紡いで気がついたらそこにいる。
手を伸ばしてくれるわけではないけれど
1度でも名前を呼んでくれるだけで抜け出せる。
何時だって光のある場所をきみが指し示してくれたんだ。

眩しく光り輝くものではないが
例えソレが灯火の様に微かなものだとしても
絶対に見逃さない自身がある。


確固たる想いは、きみを想うぼくを強くしてくれる。

きみがいれば百人力だ。
そう口にすれば眼鏡の奥の瞳が見開かれた後
紅潮させた顔を背け、馬鹿めっていわれた。
知ってるよ、それがきみの癖だってこと
だからさ、つい嬉しくって笑っちゃうんだ。
それを見たきみがまた怒るもんだから
また余計に嬉しくなる。

きみの優しくて真面目な性格が好き
ひたむきに前だけを見る瞳が好き
自分に厳しいが故の口調が好き
繊細にボールを放つ指先が好き
きみを作るすべての要素を愛している

いとしきみ

どうかこの手をと差し出せば
きみはぼくと歩んでくれるだろうか
世界のさいはてを超えたその向こうまで。
手を繋いで僕ら二人何処までも…



(そうして最後僕が息を出来なくなったらきみの声で僕を殺して)
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