これの続き
この男は愚かだと思う
休み時間
音楽室
触れられた指先からリップオン
隠しきれない羞恥心に顔が熱を灯す
全てを見透かすその瞳で射られたら
正気を保てる保証など、ない
「離すのだよ」
「ヤダ、って言ったら?」
クスリと笑いながら見上げられる
離す気など毛頭ないらしい
「授業が始まるのだよ」
「まだ時間あるよ、真ちゃん」
キスだけ、と今度は唇が触れる
生温かさが妙な熱を持ち
溶けてしまいそうになる
全身から力が抜ける様な
息が止まってしまいそうな
そんな中で心臓だけが大きく鳴る
早くなる鼓動を感じる
(恥ずかしい…)
「真ちゃん、その顔は、ダメっしょ」
高尾の息が一瞬で上がる
微笑を向けてからそれを合図に
より一層、深いくちづけ
一体自分はどんな顔をしていたのだろう、
なんて、その先は、もぅ、考えられなくなっていた…
愚者の旋律
(あぁ、こいつ以上に愚かだ)