安田に頭を撫でられる



「お邪魔しまーす」
「どうぞー」


…遂に入ってしまった。さきが、俺の部屋に!この日をどんなに待ち望んだことか!隣の、俺よりちょっと低い位置にあるさきの顔を見る。結構綺麗なんだね、とか言ってにこにこしながら俺の部屋を見回している。なんでそんな呑気なの…?笑ってんのはかわいいんだけどさー、一応男の部屋だよ?男の部屋にそんなにこにこしながら入って…いや今日家に誘ったのは紛れもなく俺なんだけど。親がいないのもばっちり計画のうちなんだけど。さきには言わないけど。


「安田君」
「え?!何、どうした?」
「どこ座ったら良いかな」
「あ、ああ…どこでも良いよ。適当に座ってて。あ、俺飲み物持ってくるわ!紅茶で良いか?」
「わ、ごめんね、ありがとう。私紅茶好きだから嬉しいな」


だから紅茶用意したんだって。俺が普段から紅茶飲む訳無いじゃん。さきにゆっくりしとくように言ってから俺はリビングに向かった。あー…それにしても自分の部屋に彼女がいるってなんか良いな。誘われて嬉しそうにしてくれるのもかわいいけど、なんつーかこう、俺の領域に入ってくれる程の仲になれたんだなあ…。うわ俺なんか気持ち悪。…今日は暑かったしさきには氷4つやろう。あんまり待たせちゃ悪いと思って2つのグラスを持って部屋に戻った。

ら、さきが俺のベッドの縁に座ってた。

「おかえりー」
「なっ、おま…!!」
「え、なに、どうしたの?」
「……、なんでもない」


ベッドって!!よりによってベッドって!!わざと…じゃないよな!さきはそんな奴じゃないもんな!く…くそ…天然てこえー…ベッドとさき…あ、やべ、ちょっ…他のこと考えよう。取り敢えず俺は床のクッションの上に座ることにした。

「え、と…待たせてごめんな」
「んーん、大丈夫。安田君の部屋見てるの楽しかったから」
「そんな楽しいもん無いだろ…はい」
「ありがとー、わぁ冷たいね。頂きます」
「どうぞ」


ローテーブルを挟んでベッドに座るさきと真正面に座って、さきの顔をじっと見た。
ただ買っといた紅茶注いで氷入れただけなのに、ものすごく嬉しそうに飲むさきを見て思わず頬が緩んだ。幸せだなぁなんか。さきが俺の部屋にいて、二人で仲良く紅茶飲んじゃったりなんかして。…そういえば、


「さき」
「なーに」
「言うの遅くなったけど、今日いつもよりすげぇかわいいよ」
「…へ、」


いつもはしないのに、頑張ってメイクしたんだろうさきの顔がみるみるうちに真っ赤になった。恥ずかしそうに俯いて照れ隠しみたいに紅茶をちょっとずつ飲むさきがかわいくてかわいくて、さきに近付いて頭を撫でた。


服部さんへ捧げるつもりで書き始めたけど没にしたもの。
没理由:収集がつかなくなった。ここから急に「揉ませてくれ」はさすがに無いから

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