藤くんがいたので、話しかけるかどうか考えていると、こちらに気がついたようでキャーキャー騒いで藤くんに話しかけている女の子を無視して、私に近づいてきた。 「なにやってんだ?」 「ハデス先生にお届け物を届けに」 よいしょ、と持ち上げてるダンボールを強調的にみせる。結構重いから、きっと書類とかなんだろう。紙でも何枚でも束ねればとっても重いし、瓶のような音は聞こえないから。 「重いだろ?」 「うん、ちょっとね」 「手伝うか?」 珍しい、と思わず口に出してしまい、藤くんは少年らしくムスッとするのかな?と少しドキドキしつつも顔を見ると、いつものような面倒臭そうな顔をしてた。あら、以外。 「俺だってたまにはやるんだよ」 「ふふ、そっか」 「まあ、あれだ。好きな奴が重いモン持ってるのに、手伝わないとか男として、アレだろ?」 「好きな、奴?」 好きな奴、って、え? 吃驚したせいで力が抜け、ダンボールが落ちてしまいそうになったのを、藤くんが受け止める。それも軽々と。私より力あるんじゃないの、きっと。 「これ、ハデスに届けたら俺、お前に告白するわ」 それって私に言う必要ないよね?ああもう、顔が熱いったらありゃしない。物凄く心臓が煩くなってるし、告白されたら逃げてもいいかな なんて考えてたらずんずんダンボール持って歩いちゃうし、逃げる暇もなく「好きだ」と、どこが好きでどこに惹かれたのか、しまいには返事ができない私にキスをしてきた藤くんに、少しだけ気絶してもらった。(嬉しかったんだもん!恥ずかしかったんだもん!しょうがないじゃん!) 20101130 |