丸井先輩がいなくなってしまったら、なんて思わず考えてしまった。きっと俺は寂しさのあまり兎のようにぽっくり死んでしまうのだろう。それだけはマジで勘弁したいからまず、先輩がいなくなってしまわないように俺のペットみたいな感じに手錠して、籠に閉じ込めてしまおうか。とまで考えて俺はなんて馬鹿なことを考えているのだろうと考えを消した。先輩がいなくなってしまうことなんて、ないに決まっている。もし仮に、転校やらなんやらして俺の前から先輩が消えてしまったら、それを探し当ててまさに奇跡を起こそうではないか。
やべ、今日の俺はカッコイイかもしれない。これなら先輩に告白できるぞ。いつもは告白する前に、先輩は練習を始めてしまうから、いっつも空回りしてしまう俺でも、今日こそは。






「先輩!好きです!」

わざわざベタな体育館裏に、先輩を呼び出しての告白タイム。きっと、今の俺の顔は炎のごとく真っ赤になっているだろう。俺の愛の告白を、先輩は受け取ってくれるのだろうか。ドキドキと胸が張り裂けそうなくらい煩い。
先輩の反応は、

「え、何それ罰ゲーム?」

なんですと。俺の精一杯の愛の告白を、罰ゲームだと思っていらっしゃるだと。なんて、なんて酷い方なんだろうか。いや、でもそんなところも許してしまいそうになる。これが恋と言うものなのだろう。

「いやいや罰ゲームじゃないっスよ!」

慌てて、苦笑も交えながら否定してみるが、先輩は信じ込んでいるようで、やたらとニコニコしながら「まあまあ、落ち着け赤也」と言ってくる。落ち着けられるわけないじゃないか。なんて叫びたいが、叫べない俺。なっさけねえ

「罰ゲームでも、まあまあ嬉しかったぜ」
「せ、先輩…!」

やべえ、今のへにゃりって言うまるで子猫のような笑みに、きゅーんって心臓をわしづかみされたような、そんな感覚。なんか気持ちがフワフワして、天国にいる気分になってきた。今なら、死んでもいいかもしれわない。



20110205


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