好きだと気がついたのは意外にも早く、初めて出会ってから三日後だった。愛の告白なんて一度もしたことのないボクが、愛を知って胸を苦しめるニンゲンに出会うだなんて神様ズルイ。シュミレーションだってろくに出来ないんだよ、心に傷を抱えるポケモンに「愛ってなにかな?」と聞けるはずもなくて、ボクは悩む日々が続いている。 ある日、ボクが愛を知ってから一週間以上はたっていただろう。ボクは思い切って想いをよせるニンゲンに会いにいった。 「やあ」 ニッコリと微笑んで警戒心を解こう、なんて考えてみてやったことなのに、ニンゲンはあまりに敏感で警戒心をさらに強めて軽く会釈した。ふといつもはモンスターボールにいれられているポケモンが、こちらをみていたのでボクも見つめ返してみると、おどおどしながらポケモンは言った。 (おかしいよ) 何がおかしいの? (マスター、最近ボーッとしているんだ) 理由は、わからないのかい? (わからない。でも、キミと出会ってから、マスターがおかしくなったんだ) ボクの、せい。ボクがここにいれはいけないのだろうか、なんてふと考えてみて笑みがこぼれた。ボクを必要としてくれないキミがこの地方にいても、ボクは遣り通さなければいけないことがあるのだ。 「ねえ、トウヤくん」 「なん、ですか?」 「ボク、ってキミのなんなんだろうね」 涙がでそうだったけど、必死に堪えたよ。だって、トウヤくんに泣き顔なんてみせたくないもん。 汚らしい生き物の分際であなたに恋焦がれることをお許しください20101017 |