ぽつぽつ
「萌太ってサドだよね」
「はい?」
確かに僕はサドだ。自覚はある。ただいきなりそんなこと言われてはいそうですねなんて言えるわけもなく。いくら元死神とはいえ、愛する彼女の前では気も抜けちゃうもんなんですよ。
「いやあ、視線も仕草も容姿も声音も全部Sに浸食されてるよなあと思って」
「ありがとうございます、誉め言葉だと思い込んでおきますね」
彼女は何も言わずに大鎌を振るう僕の背中を見つめる。ぞくり、心地いい快感が、彼女の視線を証明している。
「まあこんなサディスティックな殺し方するのは貴方を愛した人くらいですよ」
「そっかー」
「惚れ直したでしょ?」
「もうこれ以上ないくらい惚れてたよ」
なんて、戯言。そう言いながらも彼女は僕に寄り添う。
「赤い水玉、似合うよ」
「有り難う御座います」
ぽつぽつ
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