あの頃僕らは


 五年じゃ人は変われないよね、と。
 久しぶりに会った彼女は、ふと困ったような顔をしてそう言った。なんのことかわからず僕は首を傾げるが、彼女は尚も苦笑するばかりだった。桃色の空が揺蕩い、死とかそんなものがいろいろ地面を這う。こんな汚れた世界で、彼女は苦笑する。僕を見て綺麗だねと。ごめんねと。なんのことかわからない。僕は正直にきく。なんのことですか。五年じゃ短かったよ。僕はいつも貴方に会いたいと思っていました。もう一生会いたくなかった。そうですか。情けなくて、僕も苦笑する。
 会ってもどうせこうだもの何もできずに終わるの。彼女はただ悲しそうにそう言う。僕をこれだけ貫いておいて、これは酷い。何もできないなんてことはありません。それでも意味はないでしょ。僕は黙る。



「あと何年立てば指輪買えるかな」

 彼女は笑う。





あの頃僕らは

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